第14話 先輩の姿、アイドル?の登場
2年生、そして3年生の長縄が行われる。
僕たち1年生は先輩たちの長縄を観たり、自分たちの結果を振り返ったりしている。
気になる結果はというと、2年生の男女合計の記録は、1位 2組の71回、2位 4組の69回、3位 1組の64回となった。
また、3年生の記録は、1位 5組の74回、2位 3組の69回、3位 6組の66回という記録になった。
2、3年生の先輩たちの長縄を見て思ったのが、息が合っていて、お互いの理解が深いように思えた。僕たちよりも長い年月を同じ学校で過ごしているのが大きいだろう。とはいえ、入学してまだ日が浅い僕たち1年生も全力を尽くして、やり切ることができたと思う。
というのは、僕が思っていることでもあり、周りの表情や反応からも同じ気持ちであることが伝わってくるような気がする。最近になって、僕は前よりも人と関わろうと思ったり、相手を知りたいと思うことが増えてきた気がする。
1歩……2歩と踏み出していくうちに、もっと綺麗で、色鮮やかな花のように明るい日が来るのだろうか。お気楽な考えな気もするが、こういう考えもきっと悪くないのだろう。
さて、みんなのアイドル……丸井くんの登場である。
「丸井がんばれー!」「まるくんがんばー!」という明るい声援が5組を中心に校庭全体へと届いているだろう。また、その他の声援も校庭という広い場所にも関わらず、大きく大きく拡がっていく。
丸井くんの参加する短距離走が始まる。短距離走は3年生の各クラスから3人ずつ、2年生から各2人ずつ、最後に1年生から各1人ずつ参加する選抜種目である。
学年を跨いで、同じクラス同士でチームを組む。そして、走る順番はチームに一任されていて、6人で合計600mを走りそのタイムを競い合う。
選ばれた者たちが入場をして、第1走者が各コースへと着く。短距離走が選抜種目ということもあり、如何にも運動ができそうな人たちが集まっているようだ。各走者が、足や腕を曲げたり、伸ばしたり準備運動を軽く済ませたところで始まりの合図が出る。
「位置について……よーいドン!」
合図とほとんど同時に、各コースの第1走者が凄まじい速度で走り出す。
そのなかでも印象的なのは第4コース、2組の走者だ。名前は知らないが、大きな図体が特徴であることと顔をあんまり見たことがないということから、おそらく先輩であろう。
彼の走る速度はまるで獲物を見つけて絶対に捕らえてやるという強い意志をもった、野生のチーターのようだった。
2組のリードのなか、各組第2走者へとバトンが渡る。
各組の代表者が全力でとにかく走り続け、追い上げ、追い抜かれの激しい攻防が続く。第3走者にバトンが渡った今現在、1位が2組、2位が4組、3位が5組となっている。僕たち5組は、3位を死守しながら順位を上げようと全力で走り抜いている。
そして、第4走者にバトンが渡るのだが、5組の第4走者はあの丸井くんである。
練習の時や体力測定の時の丸井くんの走っている姿を見ていた僕ら5組は、プレッシャーになったら申し訳ないという気持ちの反面、かなり期待している。
きっとこのクラスのみんなが、丸井くんの走りは3位という現状を変えてくれるほどに速く凄まじいと信じて、思いを託している。
そして、丸井くんの一生懸命走っている姿を見ている僕たち1年5組は、どのクラスにも引きを取らないような大きな声でエールを送り続けている。
「いけー!丸井!!」 「走り抜けー!」
「頑張れええ」
いくつもの声援をエンジンにするかのように丸井くんは全速力で駆け抜け、5組は2位へと順位を上げ1位に近づいているが、まだ距離はかなり離れている。
そして第5走者にバトンが渡り、1位をただひたすら追う。そして気がつけば1位と2位が3位以降のクラスに圧倒的に差をつけて、最終走者へとバトンが渡る。
全力で駆け抜ける姿に感化された多くの生徒や保護者たちがエールを送り続けるなか、激しい戦いは幕を閉じた。
結果は…3位が4組、そして…2位が5組、1位が2組となり、僕ら5組は1位には届かなかった…
観ていた僕たちにも、かなりの悔しい思いとよくやったという思いのどちらもあるのだからきっと、代表者はもっと大きな悔しさ、喜び、やり切ったという思いを感じているのだろう。
「丸井くんが帰ってきたらおつかれさまってみんなで言おうぜ!」「褒めちぎってやろう!」という労いとふざけ半分の提案で、5組のみんなで丸井くんを褒めまくったのであった。
そして、午前の部を終えて、お昼休憩のアナウンスが流れる。僕は飲み物が足りなくなってきたので、1度校舎に入り1階の廊下にある自動販売機で飲み物を買おうと思う。
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