俳句と散文 「栗とマロン」

よひら

モンブラン時は流れて秋の色

ねえ、どこ見てるの?

妻に言われて、はっと気がついた


北国の斜陽の街、うらびれた港町、では無かった

まるでタイムスリップしているのだ

今はインバウンドの観光客でごった返している


いや、まるで変わったな、と思って


昔、自分が訪れたときは、もっと寂れていたんだ、この街は、、、、

と続けようと思ったが、

妻の視線が自分にないことに気が付き言葉は呑み込んだ


オマタセシマシタ、モンブラン フタツ デス


目の前にはスイーツ、

これが噂のモンブランか、母国のケーキとは見た目が違っているが、

確かにSNSでみた実物が目の前に存在していた


妻はスイーツに釘付けだ


コレデイジョウデショウカ


Oui(ウイ)、、、ハイ!

(おっと、ハイで良かったかな)


スマホで写真を撮るのこともせずに早速口に放り込む


C'est bon! セボン!(美味しい!)


繊細な職人技で、和菓子の伝統のある日本ならではのケーキ、

そう確信する


時間は無限だ


ケーキを満喫してすっかり平和な気分になる。


スイーツがあれば戦争は起きない、みな平和的に解決出来るに違いない、なんてことを考えながら、窓の外をみると、大勢の観光客が行き交う


みな秋服、秋の色だ、

やはり平和が一番だな


ねえ、どこ見てるの?


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