ペラ1小説

常田闊歩

僕はイライラしていた

 僕はイライラしていた。

 何故、イライラしているのかと問われると、本当に些細なことなので、話すのも恥ずかしいことだが、心の器が小さい僕ではあふれる寸前なので聞いてほしい。

 人によっては「そんなこと気にするようなことか?」とか「それって変なこと?」と思われても仕方ないのかもしれない。しかし、僕はイライラしていた。

 僕には頻繁に遊ぶ女友達がいる。頻繁にと言っても月に二、三度遊ぶくらいの友達だが、それでも友達が少ない僕からすれば、多い方。しかも異性の友達。

 そいつは、仕事でモデルをやっているくらい美人で愛嬌あいきょうがある。思えば、出会った高校の頃から、男子のしょうもないノリにも適度に笑い、ツッコミを入れるなど、気さくなやつだった。そのためか、友達も多く、僕と遊んでいる時も、この前誰々と原宿に行ってー、などと誰かと遊んだというエピソードトークをよくする。SNSには行った先々の食事や友達との写真を投稿している。

 そこにイライラしている。

 あー、違う。言葉足らずだ。僕がイライラしているのは、行った先々の食事や友達との写真を投稿していることではなく、他の友達との写真はSNSに投稿するのに、僕とのことは一切、投稿しないことである。

 え、なんで?

 いや、積極的に投稿してほしいというわけではない。別に僕はモデル仲間じゃないし、ただの高校の頃の同級生で友達だ。しかも異性。女性モデルに男の影がチラつくのは、ファンの心理としたら気持ち良くないことだろう。

 でもさ、高校の頃の別の同級生とテーマパーク行った写真とか話はバンバン投稿するし、顔も名前も出さずに「友達と行ってきました〜!」と投稿する時もある。じゃあ、僕の時だって、投稿してくれても良くない?積極的に投稿してほしいというわけじゃないけどもね。

 出会って六年近く経つが、一回も無い。そんなことを考えていたら、なんだかモヤモヤして、イライラしてきたというわけだ。この気持ちはなんだ。嫉妬なのか。じゃあ、何に対しての嫉妬だ。女友達本人か?投稿してもらっている同級生か?

 心がぐちゃぐちゃになった僕は思考を止め、いっそのこと本人に聞いてみることにした。相手の気持ちや考えなど、聞いてみないとわからない。モヤモヤしたまま床に就くくらいなら、変なやつだと思われてでも、聞いておきたい。そう思った。

 僕は、お手洗いから戻ってきた友達に質問をした。

「あのさ、俺のことをSNSに載せないのって、なんで?」

 自分で言っていて、なんて気持ちの悪い質問なのだと思った。だが、聞かずに帰りたくない。友達の口がゆっくりと開き、照れながら言った。

「君との思い出は独り占めしていたいから。」

 僕はドキドキしていた。

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