大きさと比較(高倉和奏✕貫田舞桜)
ゴキュキュキュキュキュキュキュ
「ふぅ………ねぇママー」
「なあに?」
速攻で飲み干されたグラスに、そっと二杯目を注いでいく。
仕事終わりだろうが、休みの日だろうが変わらない。必ず一杯目を一気に飲み干す。それが彼女、
相変わらずの飲みっぷりに清々しさすら感じてしまう。
「ママってチ○ポのサイズどのくらいなの?」
「お前はそんな話しかできないのか?」
清々しさ早く返してもらえるかしら?そんな何気ない顔で聞くような内容じゃないからね?
「あ!ごめん。間違えた」
「何をどう間違えたらそんな質問になるのよ!?」
チ○ポが間違ってるのよね!?サイズじゃなくてチ○ポの方よね!?嚙んじゃったのかしらね!!
「まず確認しなきゃね。ママって付いてる?」
まさかのそれ以前の問題!?少なくとも分かったのはチ○ポは間違いじゃなかったということよ!ちくしょう!!
「先に確認させて頂戴。デリカシーって知ってる?」
「誰それ?歌?外人?」
「配慮と気遣いだわ!」
アタシの言葉にうげぇと、とても嫌そうな顔をして三杯目を手に取った。
まるで口の中の苦みを洗い流すかのようにグラスの三分の二を飲んで、真面目な顔を作る。
「ママ。私、公私はしっかり分けたいと思ってるの。仕事も待ち帰らない。だって、仕事終わりも仕事の事考えたくないじゃん?」
激しく同意ね。家でも仕事するとか思い出すだけでも勘弁よ。
嫌な事を思い出してしまい口の中が若干酸っぱく感じてくる。わかなちゃんの行動をなぞるかのように、アタシは自分のグラスのお酒を飲み干した。このスッキリ感は味わいなのか、それとも…いや、今考える事じゃなかったわ。
「だからデリカシーも会社に置いてきた」
「仕事感覚!?」
嘘つけ会社じゃなくてお母さんのお腹の中とかやろがい!!他にも絶対置いて来てるものあるでしょ!取りに実家帰りなさい!そして両親に元気な顔見せろオラ!暫く実家帰ってないでしょ!!
「明日読むから安心してよママ」
「業務メールじゃねーのよ!」
「いや、もちろんタダで教えてもらえるとは思ってないよ?」
「まぁ、別に隠してないし教えるけど」
「お礼は私の身体で…っていいの!?」
なんか聞こえたけどスルーよスルー。
「だから隠してないって。付いてるわよ」
「ママ付いてんの!?切ってないんだ!!」
「お金がかかるとか怖いってのはもちろんあるんだけど、アタシはそもそもバリタチだからね。切るつもりはないわよ」
「バリタチって?」
あ、そうか。少なくとも一般用語ではないわね。オネエさんが教えてあ・げ・る♡
「あ、そうね。そこからよね。説明するわ」
「動物のネコとイタチって訳じゃないんだよね?」
「そうね。分かりやすく言えば、ベットの上で攻める側をタチ。攻められる側がネコよ」
まあ、たかしちゃんなら動物の方が興奮出来るんでしょうけど。
「なるほど。チ○ポを入れる側がタチで入れられる側がネコなんだ」
「うんそうだけどアタシがオブラートに包んだ意味よ」
「で、ママはぶち込む側だから付いてると」
「うんだからオブラートに……そういうことよ」
「じゃあバリタチのバリってのは?」
「バリバリにって意味よ」
「へー、勉強になった」
そう言ってグラスを傾け、思っていたより残っているのが少なかったのか少し眉をひそめ、皿に一枚残ったサラミを口に放り込んだ。
「なんの役も立たないと思うけどね」
「じゃあ追加の芋焼酎とチ○ポのサイズ教えて」
「はい、芋焼酎とおつまみのソーセージとメジャーね」
このソーセージの長さでも測ってなさいな。
「あ、もしかして長さ測った事ないの?」
「ある訳ないでしょ!?さも当たり前みたいに言わないでくれるかしら!?」
というか自分のモノにメジャーなんて当てたくないわよ。
「え?でもほら、それって一種のステータスって聞いたよ?私達で言うバストサイズマウント的なやつじゃないの?」
「いや、うーん。あながち間違ってはいないのかしら?」
最強雄筋肉チ○ポバトルって言葉があるくらいだしねぇ。いつ見ても頭悪いわねこの言葉。
「ま、私はバストマウント強者ですから」
わかなちゃんはふふんと胸を張る。この子こんなんだけど美人だし出るとこ出てて引っ込んでる所は引っ込んでるのよね。口を開かなければなぁ。
カランカラン
残念な子を見るような冷たい目を向けていると、お店の出入り口が開き、ベルが揺れる。そこから可愛らしい顔がひょっこりと飛び出し、腫れぼったい目がこちらを見つめていた。
「お、お邪魔しまーっす」
「あらまおちゃんじゃない!いらっしゃーい」
「まおちゃん?結構遅い時間なのに珍しいわね」
「あはは、ママさん高倉さんどもっす」
この時間に来るとは珍しい。良い子は寝る時間だけど今日は悪い子な日なのね。そういう時もあるわよね。勉強疲れちゃったのかしらー?そうなら甘いもの出してあげなくちゃ。
「そんな顔だけ出してないで、早く入って来なさいな」
「そうそう。お姉さん今気分がいいから一杯奢るよ?」
「う、うっす!」
彼女はその場で深く深呼吸をすると、覚悟を決めたようにいつもよりも大分乱暴に扉を開けて、店内へ一歩踏み出した。
そこには、いつもの猫背ダボダボパーカーとメンズの色褪せた長ズボンを着ているまおちゃんの姿は無く。背筋をピンと伸ばし、ニットの白セーターに紺色のカーディガンを羽織り、黒のタイトスカートにショートブーツを履いた大人っぽいまおちゃんがいたのだ!!あ、ナチュラルメイクしてる。
「その、似合って…ますか?」
似合ってるかどうかだってぇ?そんなの…。
「最高じゃな~~~~~い!」
「!!そ、そうっすか?えへへ…」
急いでカウンターから出てまおちゃんの前に立つ。
あ、褒められてまた猫背に戻ってる。あ、コラ!せっかくファンデしてんだから頬っぺたぽりぽりしないの。おてては後ろにしちゃいなさい!そしたら背筋を伸ばす!ヨシ!!
「どこで買ったのよそのワンピ!滅茶苦茶似合ってるわよ!!」
「お母さんが送ってくれたんすよ。偶にはオシャレしろって」
「お母さんが!なるほど…いいセンスね」
まおちゃんに向けてグッと親指を立てる。
「似合ってるなら良かったっす。自分こういうの全然なんでママさんに見て貰おうと思って」
「もうすっごく可愛い!花丸満点あげちゃう!」
「そ、そこまで言われるとは…照れるっすね」
「もう可愛すぎか~!?」
「うぐっ」
つい可愛さにやられて抱き着いてしまう。セクハラになるかもだが、衝動が抑えきれなかったわ。おさわりまんアタシです…。
「ごめんなさいね。興奮しすぎちゃったわ」
「い、いえいえ!大丈夫っす!!なんだか自信もついたんで」
「お詫びと言ってはなんだけど飲んでく?一杯サービスしちゃうわよ」
「流石に悪いっす、こっちから見せに来たんで。でもそれはそれとして飲みに来たんすよ」
「あらそうだったのね!なら座って座って」
「うっす。あ、高倉さん。お隣失礼しまっす」
「え、ええ…」
すると、わかなちゃんは隣に座ったまおちゃんを穴が開くのかというくらい凝視をし始めた。
まぁそれも仕方がない。なぜならこんなにも綺麗になっているのだから……。
いや違うなこいつまおちゃんの胸しか見てないわ。まおちゃんはアタシの方を見てて気付いてないけどめっちゃ胸見てるわ。そうよね。バストマウントした瞬間に自分より二回りくらい大きいバストがやって来ちゃったんだものね。わかなちゃんがバーン!って感じでまおちゃんはもうドンッ!って感じだものね。あー、まおちゃんは普段は猫背で余裕のある服着てるから気付かなかったのね!まおちゃんめっちゃデカいわよ。カウンターにしっかり乗るもの。
「なに飲むー?」
「前に飲んだ甘いやつがいいっす!」
「はいはい、さくらんぼのやつね。今出すわ」
もうずっと見てるじゃん胸。あ、自分の胸見た。持ち上げた。そして…天を仰いだぁぁぁぁぁぁぁ!!決着!!わかなちゃんが敗北を認めました!!!
「ねぇママ」
「なあに?」
うわすっごい悲しそうな顔して目の前のグラス見てる。アタシと目合わせないじゃん。横にいるまおちゃんも心配そうな顔してるじゃない。
「人にはそれぞれ個性があるんだ。その個性は大切にするべきじゃないかと私は思う」
「比較なんかしちゃいけない。みんな違ってみんないいんだ」
それマウント今まで散々して負けた側が言うの…?
「ママもそう思うよね」
「え、うん」
そしてそのままわかなちゃんは机に突っ伏してしまった。クソデカい溜息を一つつくと、突然立ち上がり叫ぶ。
「今日は飲んだるぞー!ママ!!ボトルキープしてたやつそのまま頂戴!!」
「えっと、無理はしないようにね?」
背後の棚から『わかなちゃん』と書かれた瓶を蓋を開けて渡す。奪うようにアタシの手から離れた芋焼酎は、そのままどんどんとわかなちゃんの中へ納められていく。
わかなちゃんのあまりの変わりっぷりにまおちゃんが心配そうにアタシに耳打ちする。
「えっと…高倉さんはどうされたんすか?」
「高い山…いや、高い壁にぶち当たってる所なのよ。そっとしておいてあげて」
「そう…なんすね」
凄い心配そうに見てるけどそいつそうなった原因胸なんだわ。仕事の失敗とか重要なプロジェクトとかだと思ってるんでしょうけど違うんだわ。まおちゃんの胸なんだわ。最強雌魅力バストバトル!わかなちゃんの負けぇ!!
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