第34話 ツム草のはなうた

 魔法の森のギフト君のお家のテーブルの上に、お花がかざってあります。


 ラウとトバリが、もうかれているね、と残念そうに言いました。


 ギフト君が新しいツム草をつみに行こう、と言って、みんなでおでかけです。



「テーブルに5、ムルムルのベッドの側に、5、欲しいな」


「あわせて10だね」とラウ。


「お花、10個ほしいんだね」とトバリ。


「お花は10の場合、『ぽん』って言うんだよ」とギフト君。



 ツム草の花畑について、みんながその美しさに感動しました。


 ツム草はなんとなく歌える花なのです。



ラウ「お花がハナウタをうたってる」と言うと、ギフト君が言いました。



「ときどき、セキをするツム草は、まだ歌が上手じゃないんだ。


 つんであげると歌がうまくなるから、セキをするツム草をつもうね」



 てんとうむしホタルのチャップが花畑の上を飛んで、


 とある所でおしりの光をてんめつさせました。



 ギフト君たちがそこに行ってみると、そこにはセキをするツム草のむれ。



「このこたちをつんであげよう」



 ギフト君は魔法でハサミを出しました。


 あたりはしばらくちらちらと


 青と黄色の「粒光:つぶひかり」で淡く輝いていました。


 その光はまるで雪がいつのまにか溶けるように見えなくなりました。



「かびんの長さも考えて、と」とギフト君が言って、ツム草のくきを見ています。


「せーの」とムルムル。



いっぽん、にほん、さんぼん、よんほん、ごほん、


ろっぽん、ななほん、はっぽん、きゅうほん、じゅっぽん♡



ギフト君「はぁ~・・・10ぽん、つめたねぇ」


トバリ「10ぽんをはんぶんにしたら、『5ほん』なんだね」


ラウ「さっそくお家に帰って、お花をかざろうよ」



 ギフト君のおうちのテーブルには5本、


 ムルムルの眠る場所にある花瓶に5本のツム草。



「かびんのお水の量に気をつけなきゃね」とギフト君。


「今日はいっぱいお勉強できて、トバリしあわせ~♡」


「ラウもだよ」


「わたくしムルムルもですよ。今日も誰かのハッピーバースディ♪」



 つまれることで歌がうまくなったツム草たちは、


 それはそれはなごやかな時間をギフト君たちにくれたのでした。




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