第32話 ねっけんのおみまい

 ムルムルが熱を出したときいてギフト君の家に来たのはねっけん。


 おみやげに、ホットドッグをもらいました。


「みまいに来たで」


「お~、ありがと~ぅ」とムルムル。


「ちょくちょくしかおれへんから、タイミング合ってよかったわいな」


「そうだ。ラウとトバリとチャップを紹介するよ」


 ギフト君はそう言って、冷蔵庫をあけました。


 中から出てきたのは可愛らしい妖精ふたりと、テントウムシホタル一匹。


「ほぉう、おたくさんら恋人同士なんけ?」


「ラウは兄」


「トバリは妹」


 チャップは喋れないので、背中を向けるとおしりを光らせました。


 光を点滅させて、あいさつのかわりです。


「ほ~・・・そう言えば、ギフトとムルムルはそろそろ『いいひと』できたてたりしないんけ?」


「ええっ?」


「わたくしめはまだフリーですよ」とムルムル。


「ギフトは?」


「ニャーコ、ってこが気になってる」


「ほ~・・・」


「そうだったんですか。気づきませんでした。多分」とムルムル。


「彼女にはニャオタって言ってね、手首にリボンを巻いている弟がいるんだ」


「仲ええのん?」


「もちろんさ。それで気になりじめたんだよ。それから彼女最近ね、「いぬ」って言うのを飼ってるんだ」


「犬?」


「そう。生まれて初めてみた犬が、彼女の飼ってる「ケイ」だった」


「そうそう。ちょっと喋れるですよ、「ケイ」って」とムルムル。


「ほ~・・・」



 それからギフト君たちは、ホットドッグを食べながらあれやこれやお喋りをしました。


 ねっけんはその楽しそうな様子に、しんみりしています。


 小さく何度もうなずいたり、少し笑ってしまったり。



「ギフトに好きなこかぁ~・・・ええこっちゃ」


 ねっけんは帰り道で、ひとりぼやきました。


「わし、喋れる犬やねんけど、ギフトたち気づいてないなぁ」



 はーい、お姉さんだよ~。


 みんな元気かなぁ~??


 ちなみにケイは英語表記では「K」って書く、柴犬。


 ねっけんは、ビーグルっていう犬だよ。


 ねっけんの背中には、ケチャップとマスタードをかけたような模様があるよ。



 うん!じゃあ、次も楽しみにしててね~。


 バイバーイ。

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