第22話 ゆめのあと


 あさがた、夜明けのすぐ前・・・


 ギフト君はふと目を覚ましてベッドから出ました。



「もうすぐ夜明けだ・・・少し起きていようかなぁ」



 すると窓の外で何かが動いています。


 いぶかしんだギフト君は、玄関を開けて外に出てみました。


 そこにいたのは、秘密の小森の番人『ムクラ』!


 

「おはようムクラ。どうしたの?」


「パトロールさ、散歩がてら」


「僕も一緒に行きたいなぁ」


「空を飛べたんだったらね」



 ギフト君は何度かうなずくと、


 魔法のステッキ『すいかがらのうちわ』を呼び出しました。


 ギフト君は片方ずつ持つと、うちわをあおぎだします。



「これで、飛ぶの・・・?」



 プ、とギフト君がおならをすると、ギフト君の身体が宙に浮きだしました。



「魔法の森のキノコのひとつ、マッスルーネを食べているから、僕のおならはくさくないんだよ」


「じゃあ行こう」



 

 ギフト君とムクラはだんだんと明けていく空を飛び回りました。


「ムクラって雲みたいなまっしろなもふもふの毛が魅力的だよね」


「あの雲の中に入ってみよう。きっと魚がいるぜ」


「空のお魚?」



 明けだした朱色(あかねいろ)の雲に入って行くと、そこには空魚。


 うとうとしているようで、いつものように逃げません。



「魚たちの『ゆめのあと』は、記念にもらっておきなよ」



 むらさきやピンクの綺麗でかわいいビー玉みたいなものを発見!


 もしかしたら宝石かも!


 ムクラが言うには、それはお魚さんたちの『ゆめのあと』が形になったもの。


 ギフト君は少しだけもらってもいい者として選ばれたみたい!



「お魚さんたちありがとう」


「そろそろ起きるころだから戻ろう」


「うん。ムルムルが心配しちゃうかも」



 お家の前に着地して、ステッキを片付けるギフト君。


 ムクラは秘密の小森に帰るそうです。



「それ『アメみたいなやつ』って昔言われてたんだ」


「へぇ~、本当だ。アメみたいだ~」



 ギフト君は手の中の宝石が朝日に輝くのを、しばらく見ていましたとさ。 



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