第7話 ファシーラ

 とある日、ギフト君は『花野川(はなのがわ)』に


 ムルムルと遊びに行くことにしました。


 花野川とは、魔法の森にある水の中に花が咲いている川のことです。


「ムルムルは泳げるの?」


「コーラー飲んだら泳げますよ」


「ええっ?」


「冗談だよ」


「も~・・・なんだぁ、びっくりしたぁ。こういう話いつ考えてるの?」


「それは―・・・あれ?ギフィ、花野川に先客がいるようですよ」


 そこにいたのは、川の水をリボンを巻いた手でバシャバシャかきまわす子猫。


 ギフト君たちが近づいてみると、川の中から泣き声がしました。


「ヤだよ~、ヤーだよ~~~っ」


「どうしたの?」


 ギフト君が声をかけると、川の中に一匹の大きなオタマジャクシがいました。


 身体がオレンジ色です。


「ダメだよ、イジメちゃ」


「ニャー・・・、タマちゃん❤❤僕、ニャオタ」


 タマちゃんもニャオタも、まだ赤ちゃんのようです。


「ちょっと、私の弟に何か用?」


 声のしたほうにふりむくと、そこにはシッポがふたつあるネコの女の子。


 ニャオタもシッポがふたつあるので、もしかしたら家族かもしれません。


「イジメてるように見えたから、注意したんだよ」


「なんだ、ゴメン。私が代わりにあやまるわ。あんた、いいおとこね」


「あはは、サンキュー」


「私はニャーコ、弟はニャオタ。オタマジャクシはタマ。このキノコあげるわ」


 わたされたキノコは、金色の部分がある黒く丸いものです。


「これは【ファシーラ】って言って、魔法力をアップさせてくれるのよ」


「へぇ~・・・食べてみよう・・・パクっ・・・ゴックン」


「魔法の杖を呼んでみて?」


「こ~~いっ」



 ポフン!と音を出して現れたギフト君の魔法の杖は、


 なぜかスイカ柄の二枚のうちわです。



「ん~・・・まぁ、いいか。素敵なキノコ、ありがとう」




 この様子を遠くから見ていた、カエルのきょうだいネイとテイ。


 ネイはピンクのたてがみ、テイは青いたてがみを持っています。


「俺たちのきょうだいの、タマをいじめた・・・?」


「ネイにも、そんなふうに、聞こえた」



 あらあら大変、なにかおかしな風の吹き方がしたようです。


 どうやらネイとテイは、タマちゃんのお姉さんとお兄さん。


 ギフト君がタマちゃんをイジメたように遠くから見えてしまったみたい。


 このことで何も起こらないといいけれど。



 ギフト君はこの日から、好きなように魔法の杖を出せるようになったとさ。

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