Snake skin

中野震斗

第1話バンド活動が始まらない

ある少年は渋谷の街を歩いていた


「ひっぐうぅぅ…父さん…」


父の葬式が終わり泣きながら歩いているとあるものに目が行く


「皆さーん!最後まで聞いてくれてありがとうございます!」


「こんなに人が集まるなんて思いませんでした!!」


それは路上でライブをしているバンドだった


「じゃあ最後の曲聞いてください!」


というボーカルの金髪眼鏡


「え?あれやるの?」


という同じく金髪のやせ細った男


「いやでも今日やるの初だろ?」


太った眼鏡のほうも言った


そして演奏が始まる


曲の長さは6分を超えていたが、いつの間にか終わっていた


長かったような、短かったような、演奏に圧倒され、それにしか集中できなくなっていた


「かっこいい…」


「僕もあんな風になりたいな…」


三人が挨拶をする


「ありがとうございーます!!!」


「俺たちまだ大学生なんですけどこれからも頑張っていきます!!」


「渋谷開発軍をこれからもよろしくおねがいします!!!」


2019年、齢11歳の僕はバンドマンになることを決意した


そして2023年高校に入学した俺は軽音楽部に入ることした




「そろそろかぁ、部活見学」


今日から部活の見学が始まる。


蛇山葉月へびやまはづきは自身のバンドを作るために軽音楽部に入ること心に決めていた、そのためこの渋谷に校舎を構える私立大堂高等学校に来ていた、髪を銀に染め如何にもバンドマンッ!という感じの格好だった。


「ここが部室かぁ」


蛇山はこの日をとてつもなく楽しみにしていため早めに部室に来ていた


「よしっちょっと待つか」


部室でギターの確認やスマホを見て長い間待っていると


ガラガラ


「おっ誰か来た!」


やっと待ちわびた軽音楽部の先輩が入ってきたと思ったが


「なにしてるんすか?」


その期待はすぐに消え失せた。


私服の高校だというのに、きちんと決められた制服と髪、髪を染めることは禁止ではないものの彼は黒髪。絶対に軽音部ではないことは解った。


「誰?」


「川です川圭介かわけいすけ、生徒会長の」


川は冷ややかな視線でこちらを見る


「そっちこそ何してるんですか?」


「いや軽音楽部の体験待ってたんだけど?」


「はぁ」


大きなため息をついた川が呆れた顔で言う


「知らないんですか?軽音楽部は全然人気なくて廃部予定のつもりだったんですよ?」


「ダニィ!」


「そういうことなんで、とっと帰ってください」

「でも近くにライブハウスがあるんで…」


小声で何か言ったように聞えた


「ん?」


「いや忘れてください」


しかしそのことを完璧に聞き取っていた蛇山は


「じゃライブハウスに行けばいいんだな」


勝手にライブハウスにいくことにした


「あっちょっと!!」


「じゃ!」


川の静止を振り切って蛇山は行ってしまった


_________________________________________________

「ここかな?」


蛇山はライブハウスKAWAに来ていた


「お邪魔しまーす…」


ゆっくりとドアを開けると


「兄ちゃん!今日はドア閉めて居留守にして!」


「…あいつらのことか?でも今日もなんもしてこないはずだし…」


「でも!」


「それに今日はもう日和ちゃんも来ちゃってるし…」


緑髪の同い年くらいの少女が申し訳なさそうに下を向く


「あ、すいません…」


「いや、日和ちゃんは謝らなくていいよ」


「あの…お客さん来てますよ…」


と言い蛇山の方を指さす


「あ」


「はぇーここって川の兄貴が経営してんだ」


川は何故か不服そうに言う


「そうだよ…」


「軽音部が人気ないなんて嘘だろ?」

「もしかしてライブハウスに来てほしくなかっただけなのか?」


川はまじめな顔で言う


「それは違う、ウチ運動部多いからね」


蛇山は川の兄に言う


「すいませんここで練習できるって聞いたんですけどいいですか?」


「まぁいいけど…」


川の兄はこっそり耳打ちする


「最近ガラの悪い人がいてね、その人今はなんもしてないんだけど…」


バンッ!


すると噂通りピアスとネックレスを付けたセンター分けのガラの悪い奴が入ってきた


「よぉ店長」


「あぁこんにちは」


するとその柄の悪い男はカウンターに腰掛け


「今日からここは俺のシマだ」


「は?」


「だからこのライブハウスの売り上げの半分を俺に寄越せ」


と横暴なことを言ってきた


「冗談ですよね?」


するとそいつは川の兄の胸ぐらをつかみ


「冗談?馬鹿にしてんのか!俺は渋谷…」


それを見た川が叫ぶ


「ちょっと何やってるんですか!」


「なんだてめぇ!?」


センター分けの男は川の髪を掴み


「理解しろよ俺らの地元ノリって奴を!」


「知るかよ…」


「やめてください!」


バイトの女の子がセンター分けの男をビンタをする、そして勇気を振り絞って言う


「ここはオーナーのライブハウスです!貴方のものじゃありません!」


しかしセンター分けの男は言う


「おっと?こんなかわいい子、前にいたか?」


川を振り投げ、その女の子の首を掴む


「君らが金を払わなかったら…この子どうしちゃおっかな?」


「クソッ…」


川は周りを見渡す


(なんでこんな時にあいつはいないんだ?)


すると川の兄はスマホで隠し撮りをしていた。しかしそれに気づいた男が近づいてくる


「とってるぅー!」


(クソッ!ここまでか…)


「絶対にとってるy」


すると後ろから


バキッ!


「なんだ!」


蛇山が椅子でセンター分けの男を殴った


「センター野郎!かかってこい!」


「てってめぇ!」


蛇山は折れた椅子の破片を渡す


「使え」


「なめやがって!!」


センター分け野郎は折れた椅子の足を振り下ろす、蛇山はそれをサラッとよけ


「お前あれだろ、鍛えてるだけでスポーツ経験ないだろ?」


男は激高し


「うるせぇぞ!クソが!」


もう一つ落ちていた破片を持ち


ブンッ!ブンッ!


と振る


「あっやばいかも…」


蛇山は少し劣勢に陥っていた


「とどめだぁー!」


「うわぁ!」


破片が振り下ろされた


「蛇山ー!」


しかし


「まだまだだろ?」


その破片を蛇山はガードで防いでいた


「なんだと…」


「まずは基本の…」


蛇山は構える


「パンチングだ!」


男の顎に良い感じにクリーンヒットする


「なっ…」


そこから蛇山がしたのは畳みかけるようなジャブとストレートのラッシュ


(なんだこいつ…パンチが見えない…)


「本当の止めは…」


蛇山は男の胸ぐらをつかむ、そうさっき川の兄に行ったもののように


「これだよ!」


そして全体重を乗せ頭突きをし男を気絶させた

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「お前なんでそんな強いんだよ」


蛇山と川は男を椅子に話していた


「理由は二つ」


「まず俺の親父はボクサーだったんだ」


「NOFUMIって人で…」


「NOFUMI!?」


それを聞いたバイトの女の子が言う


「知ってるのか?」


「はいっ私たまに格闘技見てるので…格闘技知らなくても有名ですけどね」


「結構前に病気で亡くなってしまったんですが…」


「そう…いいオヤジだった…」


「その親父に教えてもらってたんだ、ボクシング」


「そしてもう一つは、普通にメリケンサックしてた」


「卑怯だな…」


「ですね…」


二人とも少し引いていた…


「なぁ二人とも」


「楽器ってできる?」


蛇山は問う


少しの沈黙のあと


「シンセサイザーならいけるよ」


「まじか!」


川が答えた


「わっ私はベースやってます…」


「よし!じゃあ俺らでバンドやろうぜ!」


「軽音部?」


「私は…高校違いますけどね」


「何人ほしい?」


すると川の兄圭一郎が話しかける


「5人です!」


「そうか…」


「まあ私も支援するよ」


パァっと明るい顔になった蛇山は


「ありがとうございます!!」


元気よく答えた


「バンドの名前どうする?」


蛇山はみんなに言う


そして川が言う


「お前蛇山じゃん…だから」


「スネークスキンでどうだ!」


「蛇の皮?」


「いや抜け殻ってことだ!」


「なるほど!」


そしてこの三人から始まるバンドの物語が始まる…

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「ちなみに名前は?」


「澤村日和さわむらひよりです…」


「蛇山葉月、よろしく」


バイト戦士澤村も添えて…

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「佐鹿さん!あいつヤバいっす!」


「ん?」


「あのKAWAってライブハウスに凄い強いやつがいるんです」


リーダーらしき男はセンター分けの男、鈴木を突き放し


「知るか、どうせお前が悪い」


「そんなぁ」


青髪マッシュの男はその髪から目の覗かせ、なめていた飴の口から出す


「自覚しろ」


「お前も渋谷デベロッパーズだってことを」


鈴木はマッシュの男に近づく


「でっでも!そうしないとどうやって上納金を収めるんですか!俺らは事業なんてありませんよ!」


マッシュの男は鈴木に向けてナイフを向ける


「分かってる…そんくらい」


「じゃあなんで!」


「………」


マッシュの男は無言を貫いた…

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