第4話

その後、夜ごと葵陽はこの社にやってくるようになり、二人で静かな夜を幾度ともなく過ごした。


「そなたは…なぜこんな辺鄙なところにきているのか。」


「葵陽と呼んでください、岩のヒメさま。僕たちは各地の神社を回って伝承をまとめているところなんです。」


「伝承…。それで私の婚姻話も知っていたのか。」


「はい。でもぼくは、その男神は見る目がないなとずっと思っていて。」


「見る目がない?どうしてなのだ?」


「だって、花のような美しさは確かに良いものだけど、それは限りのあるものだと思うんです。僕は、岩のように変わらない優しさと芯の強さの方が素敵だと思って。」


「褒めたって、なんのご利益もだせないぞ…。」


彼が気安く褒めるせいで、耳の先まで、熱くて仕方がなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る