蒼の記憶と黒いカラス

紫のやつ

エピローグ

おわり「朽ちる世界」

 黒い羽根が、舞い上がる。

 体はもう動かず、感覚すらなかった。

 けれど、どうしてもあなたに触れたくて、この手を伸ばした。


 届かない。



 生きることは、虚しい。


 最初から、間違っていた。



 だんだんと霞む視界は赤く染まり、煙や血が混ざったような死のにおいは鮮明で酷く鼻をついた。


 もう、何もかもが手遅れで、無駄だと知りながら目を閉じる。

 そしてぼんやり思う、あなたはもう戻ってこないのだと。



 この日、世界が、滅んだ。

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