第15話、シルヴィアさんの過去

俺はシルヴィアさんの過去の映像を見ていた、どうやらこちらは見ているだけなので何も隠れなくても大丈夫だと判明したので隠れずに堂々としていた。


それにしてもVRみたいに見ているような感覚なので楽しく見ていた。


どんな過去なのだろうなと思いながらしているとやはり勇者パーティの王道である冒険とか魔王軍との戦いとかしてこれは滅茶苦茶に見ている分は楽しいなと感じていた。


そんなある日に王道的な展開になりシルヴィアさんが魔王軍に連れて行かれてしまったのだ。


そうして捕まってしまったシルヴィアさんは魔王軍の作戦により聖女の力を落とす為にわざと魔族の血を入れ始めたのである。


魔族の血が入れば聖女としての力が弱まり戦力として役に立たなくなるからだ。


そうやってシルヴィアさんは無理矢理に魔族の血を入れられて相性が良かったアルラウネの血をたくさん入られて体にも変化が起きてアルラウネらしい蕾と蔓が生えてしまって必死にシルヴィアさんは否定をしようとしていたけど無理であった。


そんな事で魔王軍の策略とも言えることでシルヴィアさんの聖女としての力は大きく低下した。


なるほどそれであの時と先程のことを思い出していた。


それは俺に対して回復魔法をしてくれた時にかなり不安そうにしてみていたのはこの事だったのだなと理解をした。


確かに映像で流れた回復魔法よりもかなり弱くなっていたので最初はどうしてなのかなと思っていたがこれで合点がいった。


なるほどと思ってみているとようやく助けに来てくれた時にはもうかなりサキュバス化が進んでおり勇者たちによってある程度は抑え込めることには成功したが聖女としての力は大きく低下したままだった。


それでも最初はパーティのみんなは見捨てることはなかったが次第に距離を置かれ始めてきてシルヴィアさんが密かに想いを寄せていた勇者からも距離を置かれてしまっていた。


ちなみに俺はシルヴィアさんが勇者に恋をしていることを知った時は軽く脳みそが破壊されてしまいました。


だってあのシルヴィアさんが見せたこともない表情をされてしまってはいくらそれなりにメンタルが強い俺でもあっと言う間に破壊されてしまって密かに泣いていた。


でも今はそんなことはおいとしてそれよりも見ている映像がかなり深刻になってきていたのだ。


それは勇者パーティたちから魔王軍に内通しているのではないかと疑われてしまったのである。


もちろんの事であるがこれはデマであり本当の事ではないが今みたいに情報が簡単に手に入る時代ではないのでその疑いは日に日に大きくなってしまっていた。


その上に魔王軍もシルヴィアさんと繋がっているように見せるためにも演技をしてきて余計に疑いが大きくなりそれこそ埋まらないほどに関係に亀裂が出来ていた。


おいー!完全に離間の計じゃないですか!!


これは三国志演義で嫌になるほどに見た光景が映像で見せられているのですけど例えるなら曹操と馬超との戦いの時に馬超側の武将を馬超と仲違いをさせて内部分裂をしたところを曹操が一気に攻めて勝った戦いみたいじゃないですか。


もしかして相手にはその離間の計をした曹操軍の軍師でもいるのですかと言いたくなるほどにとてもやり方が似ていた。


そしてもうそうなってしまえば周りは誰も信用してくれなくなりついにはその世界の教会に魔女判定をさせられて捕まってしまった。


おい!教会、お前たちはシルヴィアさんのおかげで甘い蜜を吸ってきたのだから少しばかりは頑張って庇え!!


それでも神に仕える者たちなのか!!俺の世界では絶対にこの様な事は許さないと信者たちに伝えておいてやる・・・シャルロッテさん経由で。


そんな事で魔女裁判に掛けられて彼女に味方する者は誰も現れなかった。


あの勇者たちでさえ、庇うどころかむしろ魔女のことを隠していた偽聖女として罵っていた。


シルヴィアさんはその時に初めて涙を流していた。


今までは他人からの罵声とか攻撃とかだったので耐えられた心も長く共に苦労を分かち合った仲間にそして何よりも・・・密かに恋心を抱いていた相手に心もないことを言われて遂に堪えきれなくなり泣いていた。


・・・さてとこいつ等を皆殺しにしても罪にならないよな?


こんな心もない奴らは殺した方が世界の為になるよと見ているだけでもかなりの怒りを湧いていた。


そしてそんな事をしている間にも死刑が確定されて断頭台に立たされていた。


そんな最期を見るために多くの者たちが集まっていたがどれもシルヴィアさんを汚す言葉を言うものしかいないと思っていると遂にシルヴィアさんが処刑されてしまうと思った次の瞬間に天から一本の雷がシルヴィアさんを守るように降り注いだ。


そうして天から舞い降りてきたのはまさかのシャルロッテさんだった!?


シャルロッテさん!?と思って見ているとシャルロッテさんは優しくシルヴィアさんの拘束していた鎖を切り裂いて助け出していた。


シャルロッテさんーーー!!!


本当にナイス!と思って見ているとシャルロッテさんが周りに向かって話しかけてきた。


「ここにいる人の子たちよ、お主たちには人の心はないのか。この者はこんな姿になっても必死に聖女として頑張っておるのにそれを応援するどころか汚すとは・・・見損なった」


良し!シャルロッテさん!!もっと言ってやれ!!そいつ等が立ち直れなくなる程にボコボコにしてしまえと俺は滅茶苦茶にシャルロッテさんを応援していた。


完全に過去の映像だと言うことを忘れて。


そうやっていると周りの者たちはシャルロッテさんに文句を言っていたけど文句を言いたいのは俺の方だからなと言いながら映像を見ていた。


するとシャルロッテさんはシルヴィアさんを心配そうに見つめながら大丈夫ですよと言って守る構えをしていた。


滅茶苦茶に女神らしいと心の底から感心をしていると女神と言えどもそんな汚れた存在を助けても良いのかと入れた時にシャルロッテさんは当たり前のように返事をした。


「貴方達みたいに心が汚れている存在よりは遥かに助ける価値がある存在だと私は思っておりますので・・・薄汚れている信仰よりも形は汚れても魂は清らかな人に信仰してもらいたいですから」


とても良いセリフを言ってくれて滅茶苦茶にすかっとしますなと思いながら見守っているとシャルロッテさんはシルヴィアさんを連れて異なる世界に向かおうとしていた時に別の神が現れた。


なんとなくであるけどこの世界の創生神かな?と思っているといくら女神でも我の世界から連れ出すのは良くないとしていたけどここに置いていけば必ず殺されるのに見過ごすわけにはいかないと言っていた。


しかし、相手の神のほうが格上らしくオーラで押されていた時にある天使から何か書状を持ってきて現れた。


それをその世界の神が見るとみるみると手を震えて怒りを表していた。


「こんなふざけた事を素直に受け入れろと上は言っているのか!!我を馬鹿にしやがって!!」


そう言いながらその世界の神は持ってきていた書状を地面に叩き落としていた。


どんな命令だったのかなと思っていたがどうやらシャルロッテさんからすれば良かった内容なのは表情を見れば分かるが。


俺はそんな事を考えながら静かにその映像を見続けるのだった。


とりあえずはシャルロッテさんもシルヴィアさんも助かりそうな感じなのでそこだけはホッとしてみていた。

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