1階 大阪府・大阪市阿倍野区・あべのダンジョン
プランB
今日は金曜日。
明日は第2土曜で学校が休みなので、陽鞠と遊びに行く約束だ。
「ただいまー…ママ、明日友達と遊びに行くからね」
勝手に行く訳にはいかないので、学校から帰ってきてから、母に報告した。
「美月…あんた今友達って言った?」
母のタオルを畳もうとした手がピタリととまる
「え…うん…言った…」
「…夢ね」
美月の口から「友達」という単語が出た時点で夢と断定した。ひどいものである。
「失礼な! 本当だし! 明日朝から行くからね!」
美月はいつどこで誰と、陽鞠のチャンネル、LINEの会話画面まで全て教えて見せた。
「そう…本当なのね…美月、よく聞いて。あんたに言わなきゃいけないことがあるの。」
母が真面目な顔をして美月の肩を掴む。
美月は最近真面目な話をされるのが多すぎる気がするなと思いながらも母の圧に負けた。
「な、何……? 怖いんだけど……」
「美月…本当はあなた、めちゃくちゃ可愛いのよ。」
「…んー、なんて?」
予想の斜め上すぎる褒め言葉に聞き間違いかと疑ってしまった。
母が言うには、美月は親のひいき目無しにしてもとんでもない可愛さをしているらしい。
確かに美月も思うところがあった。
母はもう40そこそこの年齢に差し掛かっているが、まだまだ30代前半と言っても全く違和感が無い、なんならもっと若いと言われるほどの美魔女だ。
ひとつ違いの妹の
「ちなみにこのことを知っているのは私と皐月だけよ。 皐月ー!」
母は部屋にいる皐月を呼びつけた。
「なにー? いきなり…」
皐月は何も言われていないのに「自分は何もしてません」と言いたそうな顔をしていた。
「皐月、落ち着いて聞いて。…明日、美月が友達と遊びに行くわ…」
何か深刻すぎる話の切り出し方で母が話し始める。
「…っ…嘘…嘘って言ってよ!!」
さらにシリアスすぎる反応を示す皐月。
「……悲しいけれど…」
「…お姉ちゃん…っ…!」
(私死んだみたいな扱いなってない?)
完全に美月だけが置いていかれている状況だ。
美月は自分が昼ドラの撮影現場にでも来た気分になっていた。
ひと通り茶番が終わったのか、皐月が事情を説明してくれた。
美月がその美貌の片鱗を出し始めたのは小学校3年生の頃だったらしい。
そしていち早くそれに気付いた皐月は小学2年生にして母に美月を芋女に育てるように提言したのだそうだ。
とんでもない2年生だが、されど2年生だ。
母も子供の言うことだと軽く流していた。
しかし美月が小学校4年生になってしばらくした頃、思春期に入り、明らかに群を抜いて美しくなり始めた。
2年生の皐月の言っていたことをやっと理解した母は皐月(当時小学3年生)とタッグを組み、全力で美月を芋女に育てあげようとしていたのだ。
そして2人の間で結んだ協定は「美月が本当の友達や彼氏が出来た時に全てを打ち明ける」という事だった。
「…私の知らないところでそんな事してたの?! 怖いっ!」
この話で1番恐ろしいのは大人と対等な秘密協定を結び、10年の間そんな素振りも見せなかった皐月である。
本当に恐ろしい妹だ。
「ごめんね……そんなことより皐月…私はプランBがいいと思うわ」
母がまた何やらよく分からない話を始めた。
「やっぱりそうだよね…プランBだね」
皐月も皐月で「プランB」とやらを理解しているらしい。
「……またなんか始まったよー、」
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