真実の眼をもった王子と奇妙な魔法使い

みずか🎼

第1話 プロローグ



「ずっと……代わってあげたいと思ってたの……。」


彼女は息も切れ切れにそう言って笑った。


「ああ……こんな痛いのね……よく耐えたね。やっぱり私の推しは……すごいやあ……」


「待ってくれ!行かないでくれ!嘘だと言ってくれ!」


「知ってるでしょう……この呪いは100年後……受け継がれるって……。だから私は子孫を残さない……私が断ち切ってみせる……」


彼女はそう言うと、自分の体を宙に浮かせた。


「だめだ…!行くな…!好きなんだ……愛してるんだ……!」


「私も……世界一好き……大丈夫……記憶から消してあげるから……私がいなくなっても悲しくならないよ……さようなら」


そして私に手を伸ばすと何かを唱えて、私は意識を手放してその場に倒れた。




だから言ったでしょう?私がアベルを幸せにしてあげるって。



そう、聞こえた気がした。

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