第18話 クレアおねだり、コロ登場
クレアとニーモが急ぎ足のウェイトレスを目で追った。
「アーシャっていい娘ね」
「いい人ですね」
二人がなおも呟く。
「スタイルいいよね」
「モデルさんみたいですね」
クレアは少し羨ましそう。ニーモはそうでもない。
「ニーモさあ、エリックのこと痩せさせたじゃない?」
「はい、上手くいきましたね!」
「あのさあ、私にもやってくんない? 後で」
クレアのいきなりのリクエストに三人とも思わずクレアを見る。
「え? クレアさんは別にそういうのが必要な体型では無いと思いますけど」
「私はアーシャのようになりたいのよ」
ザックが口を挟む。
「おまえ、ニーモに簡単にやってもらおうなんて、それは虫が良すぎるんじゃないか?」
「何よ、ザックは黙っててくんない? 私はニーモにお願いしてんの!」
そのニーモは悩む。
「うーん、それはどうかなあ?」
「どうかなあ、ってどういう意味?」
「何て言うか、ぎり健康の人にうまく力を使えるかどうか……」
「は? よくわかんないんだけど。同じ事やればいいだけでしょ。あとぎり健康ってどういう意味? 当回しにちょっと太めって言ってる?」
「俺にはそう聞こえた。図星だな」
「ばかザック!」
ウォードが割って入った。
「クレア、医者もそうだけど病気の治療ならできるけど、ダイエットのお手伝いは少しやりにくいんだよ。治療ってリスクゼロじゃないから」
「ウォード、あなたまでつべこべ言うの? 女の切実な問題なんだから、それ以上口出すと、後が怖いわよ」
「うわ怖、わかった。ごめん」
「仕方無いですね。じゃあ後で試しましょうか? うまくいくかどうかわかりませんよ。逆に太くなるかもです」
「え? そんなリスクあるの?」
「……嘘です。それは無いです」
「もう、ニーモったら……」
そう言って一拍おいて、クレアはいきなりニーモの脇腹をくすぐった。
「こいつー 許さん」
「きゃははは、やめてください」
結局仲のよい二人である。料理が順次運ばれてきた。
「これおいしいね!」
クレアが待っていましたとばかりに料理に舌鼓を打つ。
「とってもです。おなかが喜んでいます」
クレアとニーモの箸は進む。
ウォードとザックは雑談に話を咲かせている。クレアはそんなウォードの方を向いて問いかけた。
「ねえ、ウォード」
「何?」
「どうしてアトランティスに行くんだっけ? 鎖国してんでしょ」
すると横からザックが口を挟む。
「鎖国じゃなくて渡航制限だ。あの国は環境や国民を守りたいんだ」
「まあ簡単に言えば、色々なところで働いてみたいってのが理由かな」
ウォードが答える。
「それなら、なにもあんな遠くにしなくてもいいんじゃないの?」
ウォードはワインを一杯飲んでから答える。
「学会の中での噂なんだけど、アトランティスのある地域では精神病患者が極端に少ないらしいんだ」
「そもそも、アトランティス自体がリゾートみたいなところだから元々患者が少ないんじゃないの?」
クレアの言葉にウォードは頷く。
「それはその通りなんだけれど、少ないながらも地域によってばらつきがある。僕としては、どういう環境が患者を少なくするのか自分の目と足で調べたいっていうのがあるかな」
「ふーん。相変わらず勉強熱心ね」
「医療って本当は治療よりも予防に力を入れた方が効果的なんだ」
ザックも同意する。
「それはそうだろう。病気にならないのが一番だ」
「他にも理由があるだろう」
突然ニーモの方から思わぬ声がした。しかしニーモの声ではない。少しトーンが高いが明らかに男の声だ。三人が声が聞こえたニーモの方を向く。一生懸命食べることに集中していたニーモはキョトンとする。
「ニーモ?」
「私じゃないよ」
「ここだ」下からの声……
ニーモが足元を見る。コロがいた。ニーモはしばらくコロを見つめてから、ニヤリと微笑みを浮かべてゆっくり片足を上げる。ニーモ、少し顔が怖いぞ。コロが身構える。
「ニーモ、お前、まさか俺を踏む気か?」
「バレちゃった!」
「お前Sだな! 恩も忘れてコロボックルを虐待する気か?」
「冗談よ。踏む訳ないじゃない」
そう言うとニーモがコロを持ち上げた。コロは四人にあいさつした。
「やあ、こんばんは」
「いつの間に来たの?」とクレア。
「今来たばかりだ」
「夕食食べる?」とニーモ。
「ああ頼む。少しでいい」
「どうしよう。テーブルの上で食べるよね?」
「お店の人に聞いて見な」クレアが言った。
ニーモはアーシャを呼んで尋ねた。
「あの~。この子なんですけど」
「この子って言うな!」とコロ。
「あらっ、可愛い」
コロを見たアーシャがそう言ってコロの頭を撫でた。
「やめろ! 猫じゃないぞ」
どうも、コロは誰からも
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