第8話 国際機関
さて、カリンちゃんとのお約束まで約1時間。私はお化粧直しをしようと思ったので、一時解散を命じた。1時間後にクウェート館の前に集合と。
会場内は増々混んできた。トイレも色々とあるが、鏡があるトイレは真ん中辺にはない。大屋根リングの外側にしかないと思われる。一番近いトイレを地図で探し、行ってみると簡易トイレみたいな感じで、次に近いトイレ、次に……とやっているとポルトガル館の近く、そしてリングの外側のトイレまで行く事になった。こういうトイレは個室が多いので、並んでいるようでもすぐに順番が来る。そして手を洗う所とは別に化粧用の鏡がある。
その前へ行くと、他にも何人もの人が化粧直しをしていた。2人の女性が日焼け止めを塗り直しているようで、
「足もだよね?」
と言って、直視はしなかったけれど、なんか足を高く上げている様子だった。そして、
「塗っても塗っても汗で取れる!」
と言っていて、私だけじゃないんだ、と安心した。いや、安心してはいけないのだが。何を塗っても汗がどんどん出てきて洗い流しているようだ。ただ、顔や首などにパウダーをはたいたことで、だいぶ涼しくなった。一瞬リフレッシュ。男性陣にもパウダーをお勧めしたいくらいだったが、まあ、しないだろうな。
さて、集合時間までに何をしようか。そうだ、是非入りたいパビリオンがある。コモンズ館だ。AとかCとか色々あるけれど、どこでもいいから行ってみる事にした。
大屋根リングに沿って反時計回りに歩いて行った。一応一番近そうなのがコモンズAだったのでそこへ向かう。とても混雑しているアメリカ館やフランス館の前を通り、辿り着いたのだが、
「ただいまの時間はお並びいただけませーん!立ち止まらずにお通りくださーい!」
と、警備の人が言っている。なんと、並ぶこともできないのか。それはショック。並ぶ場所がないという事なのだろう。それならと、今度はコモンズBに行ってみた。ここはBとCが向かい合っている。しかしやっぱり、お並びいただけませんと言う。なんだ、何と言う事だ。ああ、ボランティアをやっていた時、活動以外の時間に万博以外の大阪観光なんかしていないで、コモンズ館に入っておけばよかった。まさか、コモンズ館さえも入れなくなるとは全く思っていなかった。コモンズ館だけでもいい、くらいに考えていたのに。
時間が違えばまた並んで入れるのだろうが、今はとにかく諦めるしかない。そうだ、クウェート館に近い場所に国連のパビリオンがある。今地図を見た。何人もの友達が、国連は泣ける、と言っていたのを思い出し、ここに行く事にした。あと30分あるからちょうどいいだろう。
途中、かき氷と書かれた紙が貼られているのを見た。隣に立っている男性が、
「暑い日にはかき氷、かき氷はいかがですかー。」
と言っている。いいね、日本っぽいぞ。
やっと国際機関パビリオンに辿り着いた。なんだか結局歩き回って時間ばかり食っている。辿り着いたパビリオン、並んでいるかと思ったら、それはスタンプの列だった。なんだっけ、重ねて押すスタンプの列だとか。それで、入場は全然並んでなかったのでよかった、と思ってすっと入った。
アセアンとかの国際機関の紹介と、スタンプ。スタンプがたくさんあった。私もせっかくなので押しまくった。ずーっと昔に切れたパスポートを持って来ていた。そこに押しまくった。万博の歴史の展示のようなものもあった。そして、間違えた事にやっと気づいた。国際連合ではなく、国際機関に入ったなと。
そこを出て、上の看板を見たら、国際連合は隣だった。そして、けっこうな人の列が出来ていた。あと20分ほどで約束の時間なのに、今からここに並ぶのは無理だ。諦めて、どこか座れるところを探した。
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