第5話

 数年前に別の若い同僚達と訪れた事のある人造湖とその湖畔の廃墟にまた行ったのだが、特に変わったことはない。相変わらず廃墟の入口は単管パイプをクランプで組み、ベニヤ板を張り付けたバリケードの様な物で封鎖されていたが、屈めば入れる隙間があり、今回もそこから私と同僚達は侵入した。

 確かに廃墟内は不気味な空気ではあったが、何か見たり聞いた訳でも無く、生きている粗暴な連中に遭遇することも無く、私は3人の若い男らに続いて湖畔の駐車場を歩く。

 単車に跨がる私が同僚の車のミラーに映る。私の身長にはKLX-230は小さく見える。大人がポニーに乗っているような感じだ。

 帰路は往路とは別の舗装林道の様な曲がりくねった狭い道を抜けて帰ることにする。

 進む時は先頭で帰りは最後尾を行くのが美徳だと思っている私は同僚達の乗る車に続いて発進する。

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