第10話 初パーティ結成! 妖精ルル登場

「というわけで!」

アリシアが両手を広げた。

「今日から私たち、“正式パーティ”になります!」


「お、おぉ……」


いやテンションに押されてるだけで、まだ心の準備ができてない。

昨日、鑑定士に“世界の良心”とか呼ばれたばかりなんだぞ。

精神的ダメージがまだ残ってる。


「メンバーはリクさん、私、そして――」


そのとき。


「やぁ、紹介の必要ないよ。だってもう乗ってるし」


声が頭の上からした。


「……あぁ、やっぱりお前かルル!!」


俺の髪の上で足を組んで座っているのは、手のひらサイズの妖精――ルル。

金色の髪、透き通る羽、口は悪いが性格は……うん、悪い。


「ねぇリク、今日もツッコミ数、昨日より20%増だよ?」


「統計取るな!!」



ギルド前の広場に、俺・アリシア・ルルが並ぶ。

アリシアはわくわく、ルルは無表情、俺は不安。


「じゃあ、結成式をやりましょう!」


「え、そんなのあるの?」


「もちろんです!」

アリシアは杖を構え、空に向かって詠唱を始めた。


「光よ、われらを導き、勇者パーティに祝福を――!」


――ドガァァァン!!


「また爆発したぁぁぁ!!」


村の鐘が鳴り響き、ギルドの窓が一斉に開いた。

光の柱が立ち上り、村人が叫ぶ。


「神が降臨したぞ!!」

「聖女様、村の屋根が燃えてます!!」


「お前の祝福、破壊力高すぎる!!!」



煙が晴れる。

村の中心に、黒焦げの看板が立っていた。


【勇者パーティ「常識の墓場」 結成】


「……誰が書いた!?」


ルルがすまし顔で言った。

「うん、私。ぴったりでしょ?」


「皮肉タイトルつけるな!!!」


アリシアは感動して拍手している。

「素敵です! まるで神託のようですね!」


「神託が黒焦げでいいのかよ!!」



ギルド長ボルドーが走ってきた。

「貴様ら! また村を爆心地にしたな!」


「違います! 祝福です!」


「どこがだぁぁぁ!!」


ボルドーは腕を組んで唸った。

「まぁいい。お前たちのパーティ名は登録した。正式に活動を許可する」


「え、マジで“常識の墓場”で登録したの!?」


「うむ、ピッタリだろう」


「否定してくれぇぇぇ!!!」



そのあと、ボルドーからチームの役割分担を説明された。


「勇者リク、ツッコミ担当」


「いや戦闘職じゃねぇの!?」


「聖女アリシア、破壊担当」


「それも違う!!」


「妖精ルル、経理兼メタ発言担当」


「公式でメタって言うなぁぁ!!」



昼下がり。

俺たちはギルドを出て、草原の丘で一息ついた。


「これで正式にパーティだね」とルル。


アリシアは空を見上げて微笑む。

「なんだか、神様も喜んでる気がします!」


「いやあの雲、たぶん笑ってるだけだよ……」


本当に、女神の顔にしか見えない雲がふわりと流れていった。


ルルがにやりと笑う。

「リク、覚悟しておきな。

 この世界、ツッコミがないと崩壊するから」


「……それもう呪いだろ」


「うん、神の呪い」


「軽く言うなぁぁぁ!!!」



そのとき、遠くの空に光のサインが浮かんだ。

【新クエスト発生:暴走ゴーレムの調査】


アリシアが目を輝かせる。

「新しい冒険ですよ!」


「どうせ理不尽なんだろ……」


ルルが肩をすくめる。

「理不尽こそ、この世界の燃料だよ」


「その燃料、オクタン価高すぎんだよ!!!」


俺のツッコミが風に響く。

そして、異世界一うるさいパーティの冒険が――本格的に始まった。



次回予告:

第11話「森の魔物を調査せよ!」

最初の正式任務! 森に潜む魔物は……しゃべるキノコ!?

ツッコミ勇者、キノコ鍋の戦争を止められるか――!

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