きみを呼ぶ夏

古屋いっぽ

一通目

 こちらは水無月になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。


 かれこれ、手紙を書き始めて三ヶ月が経ちます。やはりどれも、目を通してはいただけないようですね。祈るようにして部屋の扉を開けるのは、もうやめました。


 同室の、宗次郎くんからの冷淡な視線にはようやく慣れてきた頃ですが、とはいえ、このような奇行を繰り返す人間が同じ部屋にいるのは、さぞ不快極まりないことでしょう。



 もうやめにしようと思います。


 もしあなたが生きていたとしても、僕に返事を書いてくれないでしょうから、あまり期待はしていませんでした。


 どうかお元気で。

 さようなら。

 











追伸


 あなたから教えてもらったあの部屋ですが、先日見つけました。日記も見つけましたが、読まずに燃やすことにします。ご安心ください。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る