第七章:四人称の合奏

一人称は僕だ。二人称はあなた。三人称はあの人たち。

では、四人称は誰だろう。

リハーサルで、同じ小節を繰り返す。

ベースの低音が床を押し、ドラムが時間を刻み、ギターが空気へ窓を開け、声がその窓にカーテンをつける。

四人で鳴らすと、曲は一人称では扱えない速度で動く。

それは四人称の合奏だ。

四人称で書かれた日記には、主語が増え、責任が分かち合われ、喜びが増幅され、孤独が希釈される。

ステージで立つ位置は変わらないのに、景色は変わり続ける。

変わらないことと、変わり続けること。

ふたつの間に橋をかけるのが、バンドの仕事だ。

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