デスゲームの舞台は異世界です。「ネクロマンス」の力を使ってクラスメイトと異世界を楽々攻略いたします。
華ノ木
プロローグ ドキドキ!?玉響昌と25人のクラス転移
「……ごめん。……ごめんね。」
唇から漏れる声は、酷く掠れていた。教室は鉄錆のような匂いが満ち溢れ、どす黒い血に塗れていた。生き残った1人は、床に横たわるいくつもの亡骸のうち、ひとつを強く、強く抱きしめていた。まだ温かい感触ときれいな赤色だけが腕の中に残る。
つい最近まで彼らはなんて事ない日常を楽しんでいた。太陽の光が差し込み、クラスメイトたちの弾けるような笑い声と、ノートをめくる微かな音で満ちていた。しかし、唐突に現れた「神様」を名乗る存在によって、その幸せは粉々に砕け散った。いくつもの「ゲーム」と称された殺し合いを強制され、26人いたクラスメイトは、一人を残して、息絶えた骸へと変わってしまった。
窓ガラスは全て砕け散り、硝子の破片が鈍く光を反射していた。机や椅子は原形を留めぬほどに破壊され、床には、粘りつくように乾いた血が広がり、一歩踏み出すたびに嫌な音が靴裏から発せられた。ただ一つ、黒板だけが、不気味なほどに傷一つなく異質さを醸し出していた。
「やあやあ、まずはおめでとう。君がこのゲームの勝者だ。」
いやに無邪気な賛辞が、無残に荒れ果てた空間に響く。生き残りはそんなことはどうでもいいと言う風に背を向け、亡骸を抱きしめ続ける。
「ただ残念。まだまだゲームは終わりじゃないよ。次のステージはなんと異世界。」
綺麗な黒板に映し出された神様は口元だけを映してにやりと笑った。生き残った1人はそんな言葉にも目をくれず、1つの亡骸を抱きしめ続けている。
「やれやれ、話を聞いてほしいいんだけどね。そうだな、君にとっていい話をしよう。」
見向きもしない生き残りに対して神様は言葉を続ける。
「これはとっておきの情報だよ。なんと!異世界のゲームをクリアすればどんな願いだって叶えてあげよう。金銀財宝だって、愛する人を生き返らせることだって何でもしてあげるよ。」
そこまで話したところで生き残りはようやく顔を黒板に向けた。生き残りのくすんだ眼に光が宿る。
「他の奴らはいらない。この子だけ生き返して。」
「仮にもクラスメイトだったのに薄情なやつだなぁ。まあいいや。生き返らせて欲しいなら異世界で生き残り続けるといいよ。」
「そうだ、次は君に与えられる能力の話をしよう。与えられるのはネクロマンス。君にぴったりの能力だよ。」
ネクロマンス。その言葉は生存者の心を強く揺さぶった。
「早く使わせろ。使い方を教えろ。」
生意気にも命令口調で言い放った生存者に対して一瞬だけ不満げな声を現したが、黒板に映っている口元はそれ以上に興味を多く含んでいた。
「面白いね。いいだろう。といっても簡単だよ。頭の中で能力名を思い浮かべればいい。君の大事に抱きしめているそれに対して
生き残りは言うとおりに唱える。すると、全身に光が宿り、やがて外傷1つとない完ぺきな姿へと変貌していった。
「君の能力は対象を1人選びその魂と肉体を完全に支配し、生前の記憶や個性、感情までも再現、コントロールできるみたいだね。ほかにもあると思うけどまあそれは自分で確認するといいよ。ゲームは公平にいかないといけないからね。」
何者かが何かを唱えると、目の前へスマートフォンに似た端末が現れた。
「それは君たち生き残りに与えられる端末だよ。色んな情報だったり、時にはミッションが渡されることもあるから大事にしてね。」
黒板に映し出されている口元が次第に消えていく。
「それじゃあ、次のステージでも生き残ることを期待しているよ。----。」
生き残りの名前を呼んだあと、神様は完全に姿を消した。生き残りは目線をもとに戻して、強く抱きしめる。
「愛しているよ。結。次は絶対に守るから。」
光を取り戻した少年・
ーーーーーあとがきーーーーー
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