第4話「世話する竜さんと怠ける神さん」
新しい階層が生まれた後、何とか竜を落ち着かせることができた……。流石は初代勇者のペットだった竜だね。勇者にも対抗できてたよ。
対抗できてただけだけど。
「それで?お主はこの化け物……勇者を我に育てろと?」
「そういうことになるね!いやーほんとに有り難いよ!この子の世話をしてくれるなんてね!それじゃ私はこの辺で……」
「おい待て」
「えぇ…なんだよ〜、これから私はゲームをしようっていうのに」
「まだ我は世話するなんて言っていない。そもそも勇者の両親はどうするのだ、勇者と言っても大切な我が子だろう?」
「世話をするだけであって育てるわけじゃないんだ。それは親の役目らしいからね。面倒なもんだよ」
「要するに、その途轍もない力を制御できるようにでもしろと?」
「その通り!!」
やっぱり竜は察しがいいね!これなら私も楽ができそうだよ。
「それじゃあ後はよろしくね!」
「…勇者よ、奴を懲らしめてこい」
「オギャアアアア!!!!!!」
「ちょちょちょちょっと、まっ!?!?」
あぶ、危なかった…頭潰されて死ぬかと思った……2割でこれはおかしいだろ!?!?
まぁ死ぬことはないのだけれど、痛みはあるからね。『無痛』系統の能力を封印しやがってぇぇ……
「この勇者は我とお前で育てる。いいな?」
「……は〜い」
「キャッキャ」
無邪気なもんだよ……ゲームをする予定がぁ。
「卵の方は私も育てるよ。水浴びくらいは私もさせてあげられる」
「あぁ、助かる」
「そういえばなんで水浴びを3回も?雑菌なんて1回で落ちるでしょう?」
そういえばどっかで卵は雑菌が入らない為にあるみたいなことも聞いた気がするし。
「熱だ」
「熱?」
「我らはこれでも火を主とする竜だからな、水でも浴びさせないと熱がこもる。成竜にでもなればある程度コントロールは利くが…卵の状態だと熱が籠ってしまう。かと言って常に水に浸すわけにもいかない、逆に冷えて死んでしまう。だから水浴びなのだ」
「ほへぇ〜」
これは知らなかった新事実。学会にでも伝えればそれなりの報奨金はもらえそうだね。
これって火竜だけの特性なのかな?だとすると凄く面倒そうだ。
「さて、そろそろ始めようか」
「そうだね、まずは勇者の実力でも測ってよ」
「うむ、実力を測った後、それに見合った訓練を設けるとしよう」
「私はこの卵を守らせていただくよ」
「頼んだぞ、もし割れるようなことがあれば…その時は我の全身全霊をかけて貴様の魂を破壊する」
「怖い怖い、大丈夫だって、追放されたとは言えこれでも神の端くれ。この程度わけないよ」
「それならいいのだがな…」
魂の破壊って…マジで殺す気満々じゃん。基本神は肉体を持たないから魂丸出しなわけだけど、私の場合は肉体があるからね。肉体を殺しても生き返ったり輪廻転生の輪に入ったりだとか、いろいろ抜け道はあるけど…
魂を破壊されたら完全に消滅するからね。
「勇者よ!まずはお主からこい!お主の実力を…」
そう言って竜はその大きな体を立ち上げ、勇者に向けて尾を振り上げる。
改めて見てみてもめちゃくちゃ大きいね〜、ざっと見30メートルくらいかな?でかい。
「おぎゃ!」
勇者がそんな声を上げた直後、黄色い閃光が視界を埋めた。閃光は地面を削りながら、真っすぐと竜に向かっていく。
「むぐぅ…!!!」
竜はそんなちょっと間抜けな音を出しながら閃光を受け止めた。
受け止めたと思った次の瞬間には少し前に勇者の作り出した新しい階層につながる大穴が開いた。
「…本当に人間か?こやつ」
「この状態でも力の八割は封じてるんだよね〜」
「今はまだ我ほどの強さはないが…あと十五年、いや十年もあれば我を上回るほどの強さになるぞ」
「それはとても楽しみだね」
あの気のいいおっちゃんもとい魔王はいずれ神界をも滅ぼせるだけの力をつけるだろう。魔王は未だ成長途中、現段階ではこの竜とだいたい同じくらいの実力だろうから十年程度で魔王を超える力を身につけることができるというのはとても喜ばしいことだ。
そもそも魔王というのは悪神が操っている操り人形に過ぎないしね。悪神は『悪いこと』しかできないからね。仕方ないと言えば仕方がないのだけれど。
「それで、お主は何をしてるのだ?」
「ん?卵の上で赤ん坊に圧倒される竜をつまみに甘い炭酸ジュースとパリパリのお菓子を堪能してるだけだよ」
「……勇者よ、一時共闘だ。奴を殺るぞ」
「なんでなんでなんで!?卵はしっかりと守ってるよ!?!?」
「オギャア!!!!」
竜に向けて放っていた黄色い閃光が私に向けて放たれる…
「だが、私はそれをすることは分かっていた…!!能力発動!『カウンター』!」
「オギャア!!!」
「カウンター返しは無しでしょう!?!?」
耳を
「我の卵ーーーーーーーー!!!!」
そんなことになるなら勇者に攻撃させなくてもよかったのではないか。そんな事を考えながら、私の意識は落ちた。
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