第5局 一緒に遊ぼう! 琉千亜のオフ
(はぁ、昨日はホントに散々だったよ……)
昨日、酔っぱらいの篠井を介抱していたら、結構遅い時間になってしまった
琉千亜は電車賃を貸したあと、急いで帰ったもののもう家に美礼はいて、事情聴取を受けたのだ
しかも、酒の臭いはこちらの服にまでしっかりと移っていたので
「るーちゃん、いったい何処の酔っ払いと絡んでいたのですか?賭け麻雀は楽しかったですか?」
と、あらぬ疑いまでかけられてしまった
ちなみに、琉千亜は麻雀のルールをまったく知らない
将来、してみたいと思ったことくらいならあるが
「……ぷんっ……」
琉千亜は頑張ったのだが、結局美礼のご機嫌は取れずに拗ねてしまった
「おはよう美礼」
「……ぷいっ……」
美礼は翌日になっても拗ねたまま
琉千亜は美礼と長い付き合いになるのだが、こういうときの対処法は琉千亜には分からない
いつも、勝手に機嫌を直しているからだ
(ど、どうすればいいんだろう……どうせ信じてくれないから、女流棋士の子と遊んだって咄嗟にウソついたけど……よくなかったのかな?おサケの臭い移ってたし……バレちゃってた?ウソついたこと)
琉千亜はなんとか美礼のご機嫌取りをしようと必死
前回のときはネットで調べてなんとなく対処しようとしたのだが、失敗してひどくなってしまった
(た、頼りになりそうなヤツ……い、いない……っ……)
琉千亜、ピンチ!
(こ、このままだと、美礼との仲が……ん?通知?だれ?昨日の篠井さんは、絶対うるさいからって理由で通知OFFにしてたから……)
琉千亜は、おそるおそる通知を見る
胸中には、この局面を乗り越える指南をしてくれる、救世主だと願って
(……あぁ、コイツか……)
「よっす琉千亜!連敗阻止したんだっけ?」
(……来てしまった……美礼が拗ねてて暇だから別にいいけど……)
琉千亜が少し苦手意識を持つ、目の前の相手
現在、三段リーグを戦っている
「遅すぎるんだよ〜っ!」
そう言ってきた目の前の相手を前に、琉千亜はスマホをいじりながら適当にあしらう
「それはおれが遅刻したから?それとも勝つのが遅すぎたから?」
「どっちもだしー!」
琉千亜は美礼の機嫌を朝ずーっと伺っていて、すっかり友貴哉との約束を忘れてしまった
急いで着替えて家を出た時、美礼がすごい目で見てきたような気がするがいったん無視して向かった
「あー、わかったわかった、さっさと三段上がるから待って、ていうか急に呼び出してなに?なんかあったの?」
「いやぁ、ただ暇だから……」
(コイツ、暇ってだけで呼び出して……普通に同門の後輩と遊んで欲しいんだけど……)
思わず、琉千亜は舌打ちしそうになったが堪えてこう切り出す
「帰る」
「ち、ちょっと待ってぇ……奢るから、奢るからぁっ……い、一緒に遊ぼうよーっ!」
(はぁ、しょうがないなぁ……)
「はぁ、ほんとにしょうがないなぁ……」
琉千亜は友貴哉と2人で遊ぶことになった
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