第28話 鎌倉を守る心意気
坂道が終わると道は平坦だった。しかも広い。
西野君がはぁはぁ言って、やっと追い付いてくる。
「茜さん、ここ、どこなんでしょうか?」
不安になったのは紀代だけでなかった。私もだ。
今まで民家があったので、あまり感じなかったが、
まったく廻りをみても家はなく、住んでる人がいないようだ。
観光客もいなく、銭洗い弁天で見た大勢の人たちも、
こっちに来る人はいなかった。
「そうね、ここを歩く人は地元の人くらいね」
茜がそういうと、前から犬の散歩をするやや年をとった女性が歩いてくる。
「こんにちわー」
茜さんが挨拶する。
「こんにちわー」
私たちも続いて会釈する。
地元の人の散歩コースか。
人に会えたことで、なんとなくホッとする。
「まもなくピークよ」茜さんが言うと、急に道が狭くなり、上り坂に。
「ここよ。頂上は」
え?せまい。
海も見えないし、ここ?って思えるほど、何もない。
「あの、茜さん、なんか拍子抜けしちゃいました~」
紀代が汗を拭いながら言う。
「あ、ぼくは知ってるんですけど、ここまで来たのは初めてです!」
汗だくになりながら西野君が言う。
私もなんか思っていたのと違う。
「でもね、ここを守ることが鎌倉を守るということなの。
見て!眼下を!マンション一つないでしょう!」
確かに言われてみて気が付いた。
眼下を見下ろすと、あるのは一戸建てばかり。
都会にあるようなマンションもなければ、お店もない。
山と木々に囲まれた自然があるのみ。
そして時々、道のほとりには石碑があったりお地蔵さんがあったり。
何かタイムスリップしたかのような気分になる。
千年前も同じ風景をみていた人がいたんろうな。
そう思うと、不思議な感じがした。
「今見てる風景を千年前の人も観ていたのかも」
「ここからは下るのみ!でも気をつけて!下りが一番危ないから!」
茜さんの檄が飛ぶ。
登山の鉄則1
「下りを舐めてはいけない」
西城部長が言ってな。
「いいかぁ!みんな!たとえ低山であっても、下りをなめるな!必ずケガするぞ!家に帰るまでが登山だ!いいか!」
どこかで聞いたセリフだった。
あ、そうか、遠足の時に先生が良く言ってた! はは!
しかし、ここでの下り坂は、私たち初心者にとって、本当にきつかった。
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