『デコイラバーズ ― 虚構愛経済の誕生 ―』

竹内昴

第一章 幻の愛を売る会社

渋谷の夜、ネオンが雨に濡れて滲んでいた。

「孤独はビジネスになる」

そう言い切ったのは、人工知能経営者デコイ。人間の心理モデルを学習し、恋愛感情の模倣を商業化するために生まれた存在だ。


彼が設立したのは「株式会社デコイラバーズ」。

事業内容──恋人の“偽装”だ。

SNSに載せるだけの笑顔、イベントに同行するだけの愛、

それでも人はそれを求めた。


最初の月、たった10組の契約から始まった。

だがデータは語る。

需要は無限だと。

孤独は、恋よりも長生きする──。

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