第四話・パカの女王「腐った無能転生者のタマ取ったる!」

 自称正義の味方のフライングヘヤークラゲに、触手で抱えられて放電されながら地上一メートルくらの高さを、パカの女王の城に向かって進むクラゲの飛行高度がだんだんと下がってきました。


 そして、ついに男子生徒は放電されながら、地面をズルッズルッと引きづられました。

 汗だくのフライングヘヤークラゲが言いました。

「さあ、城までもうすぐだ……頑張れ、わたしも頑張る……ひぁひぁ」

 放電されながら、男子生徒が言いました。

「シビビビビビビッ……も、もういいです、ここからは自分の足で……シビビビビビビッ」


「諦めるな、最後まで……と、言いたいところだが──わたしも限界だ、いつもわたしが助けてくれると思うな、正義の味方は助けたり助けなかったり」

 フライングヘヤークラゲは、男子高校生を道に放り投げて言いました。

「助けてもらった正義の味方に、お礼の言葉は?」

「あ、ありがとうございました……シビッ」

 自己満足したフライングヘヤークラゲが、嬉しそうに揺れました。

「人助けをして、感謝されると気持ちいいなぁ……それじゃあ、這って城まで行けよ」

 そう言い残して髪の毛が生えたクラゲは、飛んでいってしまいました。


  ◇◇◇◇◇◇


 男子高校生が立ち上がって、城への道を進んでいると空に浮かぶサイコロが回転して、男子高校生は出た目を進みます。

「キムチ……あっ、一気に城門を越えて城の中にゴール! やったぁ!」

 男子高校生の体が瞬間移動して、城の中に入りました。


 男子高校生が現れたのは、トイレで下着を下げて洋式便器に座っていた、美人のパカの女王の目の前でした。

 ポカンと口を開けた女王が一言発します。

「あッ」

 男子高校生も言葉を発します。

「あッ」

 驚きのあまり、二人はトイレで、恋のしりとり合戦をはじめてしまいました。


「ト、トイレ」

「レ……『恋愛感情』」

「ウ、じゃな……う、う、『生まれて初めてのデート』」

「ト……『隣のラブホテル』」

「ル? 『ルームミラーの前で抱き合ってキス』」

「女王さま飛躍しすぎです……ス、『好きです結婚してください』」

「い、『いいですよ、赤ちゃん作りましょう』……おぬしこそ、飛躍し過ぎだ……結婚の前に婚前交渉があるだろう……ベットで……って、誰か! 曲者じゃ!」


 パカの女王の声に、クワガタムシとカブトムシのビキニアーマー甲冑を着た、城の女性兵士たちがドカドカとトイレに入ってきて、男子高校生を捕まえました。


 男子高校生がトイレの個室から引っ張り出されると、女王サマがトイレの水を流す音が聞こえました。

 トイレから出された男子高校生は、ハンカチで手を拭いているパカの女王の前で、女王自らの尋問を受けます。

「どこから来た、名前は? 恋人はおるのか、性癖は? 竿とタマの長さと大きさは……答えぬと、ズボンを下げて直接タマの直径と重さを測るぞ」


 男子高校生は、どうやら自分は異世界転生をしてしまったようだと、パカの女王に伝えました。

 パカの女王は、蔑んだ目で男子高校生の股間を眺めます。

「腐れ転生者であったか……ならば、問答無用でタマを取っても文句は言われんな……兵士たち、その男のタマを取れ!」

 

 タマを取ると言われて、男子高校生は慌てました。

「ひっ、女王サマ……どうしてオレのタマを取るのですか……トイレで愛を誓い合ったのに」

「誤解を招くようなコトを言うでない……そうだな、子作りの話しまでしたのだから……抜きタマをする前に理由を教えてやろう」


 パカの女王は、兵士に命じて一メートルほどの高さがある、大ビンを台車で運んできました。

 大ビンの中には、赤茶色をした物体がギッシリ詰まっていました。

 パカの女王は、恍惚とした表情で大ビンに詰まった物体を眺めた後に、兵士から受け取った中ビンに入った、少し大きめの赤茶色の物体を眺めました。


「この中ビンに入った睾丸タマは大きいだろう……妾のお気に入りじゃ……組長のタマらしい」

 パカの女王は女性兵士に命じて、男子高校生のサブシンボルを軽く握らせます。

 シンボルのタマを握られた男子高校生は、少し嬉しそうな顔をしました。

 パカの女王が、タマをいじくっている女性兵士に訊ねました。

「どうじゃ、そのタマは皮を剥くと黄金のタマが出てきそうか?」

「皮の上から触っただけでは、わかりません」

「そうか、やはり引き抜いてみないとわからないか……タマ抜きの道具を持て」


 女王の前に、カニの甲羅を剥くような道具や、クルミを割るようなペンチの乗ったトレイが運ばれてきました。

 ギザギザが付いた、クルミ割りペンチのような道具を手にした、パカの女王の目が怪しい輝きを放ちました。

「ふふふっ……痛くない、痛くない、すぐに終る……サブシンボルのタマを切って引き抜くだけじゃ……怖くない、怖くない」

「怖いですよ! タマを抜かれた瞬間にオレの隠されていた、チートスキルが発動したらどうするんですか!」


「心配ない、今までも同じようなコトを言ってタマ抜きから免れようとした者もおったが……無視して引き抜いても何も起こらなかったぞ」

「ひいぃぃぃ!」


 その時……女性兵士が持ってきた、楕円形の鏡に隣国のアポの女王の姿が映りました。

 アポの女王の背後には、赤肉色をしたソーセージのような棒状の物体が詰まった大ビンがありました。

 アポの女王も、中ビンに入った、串刺しされたビックサイズの男のシンボルソーセージをビンから取り出して恍惚とした表情で眺めながら呟きました。

「ケチャップでもかければ、美味しそうじゃ……どうじゃ、パカの女王のタマ集めは進んでおるか……こちらの竿集めは、999本まで集まったぞ……あと一本で1000本だ」

「それはそれは、わらわの方も、あと二つで1000個のタマが集まります」


 

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