魔導奉妖証浄者契約報告書 第六号-模倣敵との交戦記録

記録番号:AS-06/高天原ソリューションズ 魔導妖災対策室

提出者:アシュレイ 役職:妖導精契者

契約者:真熊まぐま かける 年齢:16 性別:女 職業:高校生


1. 【敵出現状況】


発生日:放課後、商店街エリアにて

概要:従来の敵性存在と異なり、外見・挙動ともに真熊の「ヒーロー像」を模倣した存在が確認された。


特徴

・スーツの意匠が酷似(黒いカラーリングに変更されている)

・真熊が考案した変身ポーズを完全に再現

・攻撃手段も「拳撃」であり、真熊の動作パターンを模倣


敵は出現と同時に周囲の市民へ向けてこう発言した:


・「正義の味方だ。君たちを守ろう」


この発言により市民の一部は一瞬、敵を本物のヒーローと誤認。


2. 【戦闘経過】


真熊は即座に変身し交戦。

しかし敵は対象者と同等の速度・攻撃力を持ち、正面からの殴り合いでは互角。


さらに敵は「より洗練されたポーズ」や「派手な技名」を大声で叫び、観衆の視線を惹きつけた。

市民の間に「どちらが本物なのか」という混乱が広がり、真熊の信頼が大きく揺らぐ事態に発展。


3. 【真熊の心理反応】


当初、真熊は動揺を隠せなかった。

「私がなりたかった理想の姿」が、より強く敵として立ちはだかることは、彼女のヒーロー像を根底から突き崩すものであった。


真熊の発言:


・「……私なんかより、あっちの方がヒーローに見える」

「私の“カッコよさ”なんて、全部真似されちゃった」


一時的に戦意が低下したことを確認。


4. 【転機】


交戦中、市民の少女(以前より観測されている配達先の子供と同一個体)が叫んだ:


・「お姉ちゃん! あの人は違う! だって、私を助けてくれたのは本物のお姉ちゃんだよ!」


この言葉により真熊は再起。

「見せかけの強さ」ではなく「心から守りたい気持ち」こそが自分の力であると再認識。


真熊は模倣敵の技を敢えて受け止め、自らの拳を込めた一撃で撃破。

観衆の全員を納得させることはできなかったが、少なくとも少女と一部の人々からの信頼は不動のものとなった。


5. 【心理観測】


真熊は「憧れのヒーロー像」と「現実の自分」との乖離に直面。


模倣敵の存在は、彼女が抱えていた「外見や強さへのこだわり」を逆手に取るものであり、強い心理的打撃を与えた。


しかし「守りたい気持ち」を核とする自己再定義を果たし、精神的な成長を確認。


真熊の発言(戦闘後):


・「……私がヒーローである理由は、派手さじゃない。

 守りたいから、拳を振るうんだ」


6. 【所感(非公式)】


模倣敵の出現は偶然ではなく、敵性存在の性質進化の兆候と推測。

彼女の理想像を利用し、信頼を揺るがそうとする狙いが見られる。


真熊は「理想像の外見」ではなく「心のあり方」に軸を移す兆しを見せており、今回の出来事はむしろ強化学習の契機となった。


ただし――市民全体の信頼を完全に回復することはできず、周囲には「偽物と同じに見えた」という声も残った。

それでも、彼女は笑っていた。

「一人でも信じてくれるなら、それで十分」と。


その笑顔は、確かに「ヒーロー」と呼べるものだった。

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