魔導奉妖証浄者契約報告書 第六号-模倣敵との交戦記録
記録番号:AS-06/高天原ソリューションズ 魔導妖災対策室
提出者:アシュレイ 役職:妖導精契者
契約者:
1. 【敵出現状況】
発生日:放課後、商店街エリアにて
概要:従来の敵性存在と異なり、外見・挙動ともに真熊の「ヒーロー像」を模倣した存在が確認された。
特徴
・スーツの意匠が酷似(黒いカラーリングに変更されている)
・真熊が考案した変身ポーズを完全に再現
・攻撃手段も「拳撃」であり、真熊の動作パターンを模倣
敵は出現と同時に周囲の市民へ向けてこう発言した:
・「正義の味方だ。君たちを守ろう」
この発言により市民の一部は一瞬、敵を本物のヒーローと誤認。
2. 【戦闘経過】
真熊は即座に変身し交戦。
しかし敵は対象者と同等の速度・攻撃力を持ち、正面からの殴り合いでは互角。
さらに敵は「より洗練されたポーズ」や「派手な技名」を大声で叫び、観衆の視線を惹きつけた。
市民の間に「どちらが本物なのか」という混乱が広がり、真熊の信頼が大きく揺らぐ事態に発展。
3. 【真熊の心理反応】
当初、真熊は動揺を隠せなかった。
「私がなりたかった理想の姿」が、より強く敵として立ちはだかることは、彼女のヒーロー像を根底から突き崩すものであった。
真熊の発言:
・「……私なんかより、あっちの方がヒーローに見える」
「私の“カッコよさ”なんて、全部真似されちゃった」
一時的に戦意が低下したことを確認。
4. 【転機】
交戦中、市民の少女(以前より観測されている配達先の子供と同一個体)が叫んだ:
・「お姉ちゃん! あの人は違う! だって、私を助けてくれたのは本物のお姉ちゃんだよ!」
この言葉により真熊は再起。
「見せかけの強さ」ではなく「心から守りたい気持ち」こそが自分の力であると再認識。
真熊は模倣敵の技を敢えて受け止め、自らの拳を込めた一撃で撃破。
観衆の全員を納得させることはできなかったが、少なくとも少女と一部の人々からの信頼は不動のものとなった。
5. 【心理観測】
真熊は「憧れのヒーロー像」と「現実の自分」との乖離に直面。
模倣敵の存在は、彼女が抱えていた「外見や強さへのこだわり」を逆手に取るものであり、強い心理的打撃を与えた。
しかし「守りたい気持ち」を核とする自己再定義を果たし、精神的な成長を確認。
真熊の発言(戦闘後):
・「……私がヒーローである理由は、派手さじゃない。
守りたいから、拳を振るうんだ」
6. 【所感(非公式)】
模倣敵の出現は偶然ではなく、敵性存在の性質進化の兆候と推測。
彼女の理想像を利用し、信頼を揺るがそうとする狙いが見られる。
真熊は「理想像の外見」ではなく「心のあり方」に軸を移す兆しを見せており、今回の出来事はむしろ強化学習の契機となった。
ただし――市民全体の信頼を完全に回復することはできず、周囲には「偽物と同じに見えた」という声も残った。
それでも、彼女は笑っていた。
「一人でも信じてくれるなら、それで十分」と。
その笑顔は、確かに「ヒーロー」と呼べるものだった。
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