魔導奉妖証浄者契約報告書 第六号-心理観測記録
記録番号:AS-06/高天原ソリューションズ 魔導妖災対策室
提出者:アシュレイ 役職:妖導精契者
契約者:
1. 【日常観測】
契約後三日目。
真熊は変身スーツに大変満足している模様。
放課後のグラウンドにて、友人と雑談するふりをしながらこっそり「変身ポーズ」の試行を繰り返す姿が観測された。
・片腕を掲げる案
・両拳を胸の前で組む案
・走りながら変身する案
本人は鏡代わりにスマートフォンのカメラを用い、「もっとカッコよく」「ヒーローっぽく」と自己評価を続けている。
その姿からは、彼女が純粋に憧れを楽しんでいることが明白であった。
2. 【戦闘発生】
夕刻、帰宅中に敵性存在が出現。
真熊は即座に変身し交戦。
敵概要
・人型に近い魔物
・特徴:巨体で防御力が高く、動きは鈍い
・攻撃:大きな腕による薙ぎ払い
・数:1体
戦闘経過
真熊は疾走とパンチを組み合わせて攻撃を繰り返すも、敵の装甲的外殻が強靭で、ダメージは限定的。
反撃の薙ぎ払いで周囲のガラス窓が砕け、通行人の一部が負傷。
真熊は即座に救助行動へ移ったが、拳による決着が遅れたことで、完全に守り切れなかった市民が発生。
3. 【契約者の反応】
戦闘後、敵を撤退させたものの、通行人の負傷者を前に真熊は立ち尽くしていた。
「ヒーローは絶対にみんなを守る」という信念が揺らいだためと推測される。
本人の発言:
・「これは遊びじゃない……私の拳じゃ、足りなかった」
その一方で、帰宅後に一人でノートに「新しい必殺技の名前」や「ポーズの案」を書き連ねている姿も確認された。
これは「失敗から逃避するため」ではなく、むしろ「ヒーロー像を維持するための努力」の一環と見られる。
4. 【心理分析】
・真熊はスーツや変身行為そのものに強い満足を抱いており、「自分はヒーローになれる」という自己肯定感を獲得している。
・しかし現実には「守り切れない事態」が発生し、その落差に直面。
・失望よりも「次は必ず」という前向きな焦燥を示しており、今後の成長要因となる可能性が高い。
5. 【所感(非公式)】
拳は確かに力強い。
だが――彼女が追い求める「絶対のヒーロー像」に届くには、拳だけでは足りないのかもしれない。
今回、真熊は傷ついた市民を前にして言葉を失った。
だが夜、自室で新しい変身ポーズを考え、必殺技の名前を落書きする姿を私は観測した。
理想と現実の狭間に立ちながら、それでも笑おうとする――
このしなやかさこそ、もしかすると「ヒーローの条件」なのかもしれない。
……もっとシンプルに。
もっと真っ直ぐに。
彼女は必ず、自らの拳で答えを見つけるだろう。
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