魔導奉妖証浄者契約報告書 第六号-心理観測記録

記録番号:AS-06/高天原ソリューションズ 魔導妖災対策室

提出者:アシュレイ 役職:妖導精契者

契約者:真熊まぐま かける 年齢:16 性別:女 職業:高校生


1. 【日常観測】


契約後三日目。

真熊は変身スーツに大変満足している模様。

放課後のグラウンドにて、友人と雑談するふりをしながらこっそり「変身ポーズ」の試行を繰り返す姿が観測された。


・片腕を掲げる案

・両拳を胸の前で組む案

・走りながら変身する案


本人は鏡代わりにスマートフォンのカメラを用い、「もっとカッコよく」「ヒーローっぽく」と自己評価を続けている。

その姿からは、彼女が純粋に憧れを楽しんでいることが明白であった。


2. 【戦闘発生】


夕刻、帰宅中に敵性存在が出現。

真熊は即座に変身し交戦。


敵概要

・人型に近い魔物

・特徴:巨体で防御力が高く、動きは鈍い

・攻撃:大きな腕による薙ぎ払い

・数:1体


戦闘経過

真熊は疾走とパンチを組み合わせて攻撃を繰り返すも、敵の装甲的外殻が強靭で、ダメージは限定的。

反撃の薙ぎ払いで周囲のガラス窓が砕け、通行人の一部が負傷。

真熊は即座に救助行動へ移ったが、拳による決着が遅れたことで、完全に守り切れなかった市民が発生。


3. 【契約者の反応】


戦闘後、敵を撤退させたものの、通行人の負傷者を前に真熊は立ち尽くしていた。

「ヒーローは絶対にみんなを守る」という信念が揺らいだためと推測される。


本人の発言:


・「これは遊びじゃない……私の拳じゃ、足りなかった」


その一方で、帰宅後に一人でノートに「新しい必殺技の名前」や「ポーズの案」を書き連ねている姿も確認された。

これは「失敗から逃避するため」ではなく、むしろ「ヒーロー像を維持するための努力」の一環と見られる。


4. 【心理分析】


・真熊はスーツや変身行為そのものに強い満足を抱いており、「自分はヒーローになれる」という自己肯定感を獲得している。


・しかし現実には「守り切れない事態」が発生し、その落差に直面。


・失望よりも「次は必ず」という前向きな焦燥を示しており、今後の成長要因となる可能性が高い。


5. 【所感(非公式)】


拳は確かに力強い。

だが――彼女が追い求める「絶対のヒーロー像」に届くには、拳だけでは足りないのかもしれない。


今回、真熊は傷ついた市民を前にして言葉を失った。

だが夜、自室で新しい変身ポーズを考え、必殺技の名前を落書きする姿を私は観測した。


理想と現実の狭間に立ちながら、それでも笑おうとする――

このしなやかさこそ、もしかすると「ヒーローの条件」なのかもしれない。


……もっとシンプルに。

もっと真っ直ぐに。

彼女は必ず、自らの拳で答えを見つけるだろう。

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