魔導奉妖証浄者契約報告書 第五号-最終記録
記録番号:AS-05/高天原ソリューションズ 魔導妖災対策室
提出者:アシュレイ 役職:妖導精契者
契約者:
1. 【発生状況】
夕刻、市街地駅前にて敵性存在が出現。
外見は――兎沢本人に酷似。
以前遭遇した模倣能力を持つ個体がついに市民の前で行動を開始。
模倣敵はライダースーツ姿で群衆に紛れ、周囲の人間に「兎沢本人が市民を襲撃した」ように誤解させる行動を展開。
現場は混乱し、兎沢への視線に疑念が生じた。
2. 【戦闘経過】
・兎沢は自らの潔白を叫ぶことなく、ただ戦闘を選択。
・群衆の中に普段交流している女児の姿を確認。女児だけが「本物はこっち!」と兎沢を指差した。
・その声を受け、兎沢は強い感情をあらわにし、心に素直な言葉を放った。
・「私は――守りたいんだ。信じてくれる一人のために!」
【強化現象】
・魔力が爆発的に上昇。
・ライダースーツは赤のラインがさらに収束し、余分な装飾が消え、より機能的で研ぎ澄まされたシルエットへ変化。
・自転車は完全に光輪化し、走行跡が敵を切り裂く刃となる。
兎沢は模倣敵の動きを先読みし、真正面から突撃。
「模倣」では再現できない感情の熱量が決定打となり、敵は消滅した。
3. 【戦闘後の状況】
・市民たちの一部は依然として「本物が誰だったのか」疑念を抱いている。
・完全な信頼回復には至らず。
しかし女児は走り寄り、対象者の手を握って言った。
・「わたし、ずっと信じてたよ!」
兎沢は短く笑みを浮かべ、
「それで十分だ」
と答えた。
兎沢は満足の様子を見せ、むしろ周囲の誤解を気にしていないように見受けられる。
4. 【担当地域の状況】
模倣敵消滅後、他の敵性存在の気配も一掃された。
観測の結果、本地区での魔物発生は終息したと判断。
任務は終了。
5. 【契約解除】
契約者・兎沢との契約は円満に解除。
兎沢は以後も「謎のフードデリバリー」として活動を続けている模様。
(※本人曰く「別に有名になりたいわけじゃない。必要なら走るだけ」とのこと)
6. 【所感(非公式)】
今回、ライダースーツは最終的に 余分な装飾をすべて削ぎ落とし、究極的にシンプルな姿へ至った。
……だが、私は考えてしまう。
「もっとシンプルにできるのではないか」と。
ベルトも不要、スーツも不要――
もしかすると、心と願いだけで戦える形があるのではないか。
決してスーツの処理が大変だとか流行りの装備を調べるのが億劫だなどという考えではない。
その可能性を探るために、私は次の担当地区へと赴くことになる。
(※第一の地区ではフリルに溺れ、第二の地区では孤独と守護を知った。さて次の地では、どんな心に出会えるのだろうか)
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