親友が落ちてきた

あおじ

親友が落ちてきた


 目の前に、親友が落ちてきた。

 ベシャリと不気味な音を立てて地面に身体を叩きつけた親友は、ドクドクと大量の血を流す。

 仰向けで血溜まりの中に浮かぶ親友の目には光りはなく、だらしなくポカンと開いた口はもう自力では閉じることは出来ないだろう。

 動かなくなった親友をじぃと見下ろす。すると親友の遺体カラダは徐々に透明になっていき、1分も経たない間におびただしい血液ごとすっかりと消えてしまった。

 場所や頻度や時間、果ては寝ても覚めても。こちらの都合など関係なく親友は毎日私の前へと落ちてきて──そして消える。こんなおかしなことになったのはいつからだろう? ああ、そうだ。親友が学校の屋上から転落死してからだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る