第43話敵本陣への奇襲

 前へ前へ前へ。どんどんと敵兵を殺しつつ、前へと進む。ひたすらに前へと進んでいけば、視界が開けるのは経験済みだ。そんな訳で、俺とアーリアだけが敵右翼を突き破っていた。まあ、日常的な光景だな。いつもやっていることである。


「敵本陣発見! アーリア!」


「解ってるって!」


 敵の本陣目掛けて走る。誰もこっちを止められない。AGI特化型の恐ろしい所でもある。どうあがいても止められないんだ。ただ、走り去るのを見るしか出来ない。こっちは特に言う事も無し。司令部を潰せば、一気に瓦解するのは解っているんだ。敵本陣さえ叩いてしまえば、後は何とでもなるんだよ。だから、一直線に敵本陣へと強襲をかける。さあ、首は要らないらしいので、首を置いて行けとは言わない。ただ、命は置いていけ。


「敵襲! てきしゅ――っがは!?」


「さあ、本陣はここだろ? 生きて帰れるとは思うなよ!」


「強い人は何処だー! 私が相手したいんだよー!」


「な、何故こんな所に!?」


「展開が早過ぎる!?」


「そっちが遅いのが悪い。戦場では、早さが何よりも重要だ。早さこそが正義なんだ。情報の伝達も、何もかも、早さが足りない!」


 素早い動きを可能にするのが、情報の伝達だ。それが遅いとこうなる。早さこそが正義だ。AGI特化型に育成してみて、それがよく解る。早ければ早いほど有利になるんだ。AGIはいいぞ。上げるに値するステータスだとは思う。まあ、確かにSTRに振った方が決定力は上がるだろうが、そこまでの決定力が必要になる場面が少ないからな。攻撃方面は程々で良いんだ。防御力を上げておけば、死なないんだから。後は早さを上げればいい。その方が生き残れるし、こうやって有利に運ぶことも出来るからな。


「遅ーい! 強くなーい! 私の相手は何処だー!」


「ここを壊滅させたら一気に動くんだから、心配せずに戦っておけ。ここに強い奴が居なければ、もういないと思った方が良いぞ」


「つまんない―! 一騎打ちをしたい人は居ないのー!」


「時間がかかるから却下だ。とっとと殲滅するぞ」


 敵本陣の壊滅に、5分も要らない。そんな時間はかけてられない。一瞬でも遅れれば、味方に被害が出てしまう。味方の被害は最小限にしないといけない。出来れば、被害なんて出ない方が良い。まあ、こっちが被害を出してしまう可能性はあるんだけどな。


「さて、一仕事終えた訳なんだけど、まだまだ仕事はあるぞ。いったん後方に走るぞ」


「うん。強い人はいなかったもんね」


「それはそうなんだけど、そうじゃないって感じだな。敵を殲滅させるには、範囲攻撃が必要だ。ここでいいか。精霊王を召喚していけ。後はデーモンロードとセラフィムも頼む」


「解った。さあ出てきて!」


 そんな訳で、魔法が得意な組をどんどんと召喚していった。そして、やることは一斉掃射である。殲滅するにはそのくらいの火力が必要なんだ。50000人を滅ぼそうと思えば、それなりの火力が必要になってくる。ここは召喚獣に任せるんだ。俺たちは、別の所に走るぞ。


「アーリア! 召喚したら後ろに走れ。次の仕事が待っているぞ。早さは全てを解決するんだ。早さこそが正義なんだよ」


「後ろに走るの? でも、こっちには敵が居ないよ?」


「もっと後方に敵がいる筈だ。そっちを殲滅する。向こうは召喚獣に任せておけば片付くんだ。故にこっちだ。ゴブリンヒーローとエルダーヴァンパイアロードを突っ込ませるぞ。まだ出すなよ。向こうの陣地が見えてきたらでいいからな」


「本当に陣地なんてあるのかなあ?」


「ない訳がない。攻め込むにしても、全軍で突撃は無理だ。交代要員が必要になる。その為には、後方に陣を作っているはずだ。作戦だって言っていただろ? 敵の本陣を叩けって。敵の本陣はこっちだ。ほら、前に見えてきたぞ」


 敵の本陣とは、後方にある陣地の事であると、曲解して突き進んでいる訳だ。まあ、ここを突破しないと勝てないので、突破は必須なんだけどな。敵本陣というか、仮拠点というか。そういう場所だ。ここも破壊しておかなければいけない。さあ、殴り込みだ。


「エルダーヴァンパイアロードを展開しろ。ゴブリンヒーローは後。まずは本陣を突っ切るぞ」


「解った!」


 そんな訳で、100000人はいるだろう場所を突っ切る。AGI特化型に隙は無いのだ。一点突破して、敵の本陣の後方にやってきた。さあ、ここからが本番だ。


「ゴブリンヒーロー展開。ついでに残っているショゴスも展開。さあ、殲滅するぞ。目的は敵本陣の壊滅だ。ここが敵の本陣。ここを叩けばミッション成功だ」


「無理やりな気もするけどねー! けど、強い人がいっぱいいるといいなあ!」


 雑魚の相手は嫌だとアーリアが言う。ある程度は強敵のはずなんだけどな。まあ、雑魚と言えばそうなのかもしれないけど。基本的にはステータスは4桁程度だろうからな。まあ、それでも十分とは言えないくらいには低いんだけど。でも、戦った感じはそんな程度だ。もっとレベルを上げないといけないとは思うぞ。死なない程度にはレベルを上げないといけない。もっとストイックになるべきなんだよ。レベルを上げて、物理で殴れば良いとは、誰が言い始めたのか。でも、本当にそれなんだよな。レベルさえ上げれば、後はステータスの暴力で何とかなるんだから。


 というか、エナジーバレットでも死んでしまうんだから、耐性装備も何も用意していないんだよな。普通は耐性で、無属性魔法は100%カットするように装備を整えるはずなんだけどな。こっちとしてはやりやすいが、無意味に戦っている感じがして何とも言えない。牽制で撃ったエナジーバレットで死んでしまうんだから、どうしようもない。後は殴ればいいだけの簡単なお仕事なんだ。100000人居ようが関係ない。とにかく、敵の本陣を壊滅させるのが俺たちの仕事である。敵の本陣に強襲を欠けているんだから、既に壊滅に成功したようなものではあるんだけど、まだまだ油断は出来ない。どんどんと攻撃をしてやらないといけないんだよ。


 アーリアも大暴れしているからな。こっちもやってやらないといけない訳だ。誰1人として逃さない。全滅させることに意味があるんだよ。まあ、色々と考えることもあるんだろうけどさ。考えても難しい事は解らない。だったら命令通りに行うしかない。敵本陣を叩くことが、今回のお仕事なんだ。ここが敵の本陣だ。だから、ここを叩くことは何も間違っている行為ではない。というか、そろそろ援軍にも来て欲しいんだけどな。


 向こうの戦闘も良い感じに終わっているだろうからな。後ろから魔法を連射させているんだから、とっとと終わっていて欲しい。そこから一気に雪崩れ込むことを要求されている筈だろ? それが今回の作戦なんじゃないのか? あわよくば、逆侵攻してしまおうぜって話なんじゃないのかね? そうじゃなければ、敵本陣を叩けなんて言わないだろうからな。ここが敵の本陣なんだから。ここに壊滅的打撃を与えるんだ。本隊は逆侵攻をかける気満々と言う事で良いんじゃないだろうか。


 そのくらいは考えているとは思うぞ。出来ることなら攻め込んでしまいたいと思っているに違いない。だが、援軍はやってこない。何故だ? そろそろ精霊王たちが後方から殲滅するはず。デーモンロードとセラフィムを置いてきたんだ。100000くらいは楽に殲滅できるはず。まあ、ショゴスを多少巻き込むかもしれないが、そんな事では死なないからな。簡単に死なないから乱戦に向いているのであって。さあ、早く援軍を寄こすんだ。そうじゃないと、全部終わるぞ?

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