第35話敵将、討ち取ったり
目の前の敵を殴り飛ばす。エナジーバレットを乱射する。たったそれだけの事で、部隊は壊滅的被害を与えていく。……まあ、部隊というか、俺だけなのかもしれないけど。そこにアーリアが足されてどうなるのかだよな。とにかく乱戦の中を走り抜けている。AGI特化型を舐めるんじゃないぞ。攻撃しても当たらない。追った時には既に走り抜けている。まあ、危険そうな人はパンチで攻撃をしているだけなんだけどな。左から右へと走り抜けるのに、そんなに時間は必要なかった。
「……あっけな。こんなに弱いのか。それじゃあ、とっとと指揮官を殴り倒して撤退させますか。こっちの撤退を援護しろと言われた。だが、敵を撤退させるなとは言われていない。じゃあ、偉い人を殴りに行きますかねえ! おりゃああああ! 道を開けやがれ!!」
開けて貰えればそれで良い訳なんだが、そんな事はしてくれる訳もなく。とにかくこじ開けていくスタイルで、どんどんと後方の方へと向かっていく。途中で殴り飛ばすのが簡単になったから、魔法部隊に突っ込んだんだろうなってのは理解が出来た。
流石に最前線の指揮官が、一番前で戦っているとは思わないので、後ろを目指す。大将首を狙っていく。思いっきりパンチしながら突き進んでいく。所々にショゴスとゴブリンヒーローを置いていくのを忘れないでな。魔物が現れたと知って、召喚士が来ていることは解っているとは思うが、まさか召喚士が配合に配合を重ねた召喚獣を使っているとは思わないだろう。まあ、ショゴスに関しては、見たことがないとは思うんだけどな。あんなのが普通に居て堪るかって言うね。強さだけなら災害級なんだ。簡単には殺せない。知識が無ければ殺せない。そんな魔物である。
殴って殴って突き進んでいるのは良いんだけど、10000人程度だよな? そのくらいならそろそろ……。と、後ろに抜け出た。指揮官は何処だ? 攻撃を躱しながら指揮官を探す。居ないなんてことはないはずだ。何処かに指揮官が……居たな。あれだな。明らかに良い装備を身に纏っている。あれが指揮官でなければ、何処に居るんだって感じではある。見た目は完璧だな。
「指揮官見っけ! 命を貰うぞ!」
「クソが! 死兵の癖に生意気な!」
振り落とされる槍。……はあ、槍は突くものだぞ。一直線に進んできているなら、突くべきだ。それを振り降ろしで何とかしようとしているだけ舐められているって事でもある。本気にさせるのも有りかもしれないとは思ったが、それよりも先に、ミッションをクリアしてしまう方が良いだろうな。
振り下ろされた槍をかなりギリギリで回避して、その槍を踏んづける。そのまま足場にして思いっきりパンチを食らわせる。STRが5桁のパンチだ。VITが高ければ受けきれるとは思う。ファイター職の一部では、VITをもの凄く伸ばすビルドがあることは知っているからな。それなりのHPもあると言う事だろう。だから、容赦なく追撃をする。HPが無くなるまで、殴り続けるんだ。
周りの兵士もこっちを何とかしようとしているが、そんな事では止まらない。止まってやらない。殴り殺される指揮官を眺めているだけの作業をさせてやろう。何もさせてやらないからな。3発、4発と拳を叩き込んでいく。HPがなくならない限りは、服にもVITが乗り続ける。そうじゃないとR指定のゲームになってしまうからな。絶対に変態が現れるだろう。そんな事は、このゲームはさせてくれない。HPが無くなるまで、殴るのを止めない。さあ、VIT特化型の意地を見せてみろよ。
とまあ、勢いよく殴り続けたのは良いんだけど、10発くらいで死んだのが確認できた。そこまで育っていなかったのか、育て方が不味かったのかは知らないが、敵将を討ち取ったぞ。近くに居た兵士の剣を奪い取り、首を落とす。そして、高々と掲げた。
「敵将、召喚士のベルンが討ち取ったぞ!」
一度言ってみたかったセリフである。無双ゲーでよくあることだ。叫びたい時はあるだろう。今がその時だった。さあ、ここからはどうする? どうやって動いてくる? と、楽しみにしていたのは良いんだが、逃げに入った。……指揮官が死んだから、逃げに入ったか。面白くないじゃないか。
敵将を討ち取った。それなら、総大将の敵を討ちにくるのが普通だろうが。なのに、一目散に逃げに入った。そんな事では楽しめないじゃないか。逃げる敵を追わないと、本気でそう思うのか? そんな訳がない。敵が逃げているなら、追えば良いじゃない。そんな訳で、精霊王を大量に展開した。逃げるなら、魔法で狙い撃つまで。もっと首を寄こせ。まだまだそっちの戦力は居るだろう? ならば首を置いていけ。死んでから後悔しろ。簡単には逃がさんぞ。ここまで楽しく遊んだじゃないか。そうだろう? だったら、最後まで付き合ってくれないと、寂しいじゃないか。逃げる敵を追うのは楽しいなあ。追って追って、追い立ててやる。
「敵味方容赦なく、殲滅せよ。魔法を叩き込め。範囲魔法を叩き込め。逃げる奴を逃がすんじゃないぞ! 徹底的にやってやれ!」
精霊王が魔法を乱射する。掻い潜る奴もいる。HPで耐える奴も居る。直撃したら耐えられないが、余波で死ぬやつも居るが、まあ、逃げるだけなら出来る奴も居るんだ。全力で逃げに徹されたら、流石に全滅とはいかないからな。だが、恐怖は叩き込めただろう。そうだ、ついでに敵陣も破壊しておかないと。やるなら徹底的にだ。そこには兵站なんかもあるだろうからな。全て塵に変えてやろうじゃないか。
そんな訳で、逆侵攻を始めた訳なんだけど、敵陣には、誰も居なかった。まあ、物資はそれなりに残っていたけどな。何というか、何も持たずに逃げるのは正解だとは思うぞ。これだけの事をやられたんだ。逃げに徹する方が良いだろうな。誰でもそうするだろうけど、欲をかいて逃げ遅れた奴が居れば良かったんだろうが。俺はAGIで追いつけるが、精霊王はそこまで早くはないんだよな。精霊ってあんまり動かないからな。追い打ちには向いてない所がある。
かといって、デーモンロードを使えば、全員討ち取ってしまうので、問題は加速する。適度に負傷兵を逃がした方が危機を感じ取ってくれるだろうからな。対策を立てて来てくれ。十分な対策を立ててくるんだよ。そうじゃないと楽しめないだろう? 全員を殺すわけにはいかない。何かしらの対策を立ててくれることを願っているのである。
「あー! ベル君見っけ! こっちは結構楽しめたよ!」
「こっちも楽しんだぞ。みろ、大将首だ」
「うえー、きもいって。こっちに見せないで」
「そうか? まあ、これで敵兵も撤退させたし、味方もちゃんと撤退できただろう」
「だよね! ちゃんとお仕事は熟したよね?」
「勿論だ。大金星だと言っても良いだろう。敵兵もそうだが、敵将を討ち取ったんだからな。これが大金星じゃなくて何なんだって話だ。第15部隊の隊長の所に持っていってやろうな」
「えー。気持ち悪いから捨てていったら?」
「いやいや、活躍の証明が必要だろう? 敵将の首なんて最大級のお土産じゃないか」
「そうかなー。私なら要らないんだけど」
そうだろうな。要らないよな。そもそも帰ってくるだなんて思っても居ないだろうし。でも、帰ってくるから。毎回帰ってくるからな。ゾンビよりもしぶとく帰ってきてやるぞ。まあ、見ていれば解る。その内諦めも出来るようになるだろうからな。部隊長は誰も帰ってこないと思っているに違いない。さあ、帰ってその顔を見るのが楽しみだ。ちゃんと撤退の役目は熟したんだから、後は好きにやっても良かっただろう?
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