穏やかな笑顔の裏側」――この恐怖、幽霊よりも現実的
- ★★★ Excellent!!!
この作品は、誰もが他人事では済まされない“現実の恐怖”を描いている。
静かな部屋、柔らかな笑顔、穏やかな声。
それらがすべて、逃げ場のない圧力となって主人公を追い詰めていく。
登場人物はたった二人。
けれど、この“面談”の空気の重さと冷や汗のリアルさは、心霊描写に勝るとも劣らない。
恐怖の対象が「人」ではなく「制度」であることに気づいたとき、読者の背筋が凍る。
最後まで淡々と進む文体が、かえって現実味を増し、
読後には思わず自分の確定申告を確認したくなる――そんな一篇。