第2話
おかしい。確実に。駅のホームにつくには2分ぐらいエレベーターに乗れば良いのに、もう10分は乗っている。
これはどこに着くんだ?夢なら覚めてくれ。スマホもただの板となったし。そうやって狼狽えている間に到着した。ただ広い野原に。遠くには城が見える。
「綺麗だ。この景色は。」
混沌とする頭の中に浮かんだ言葉をそのまま口にした。空を見上げると黒い球体が浮いていた。異様なそれは禍々しい雰囲気を放っていた。ふと、視界の端に人らしきものが見える。それは紛れもなく空で飛んでいる。
「えっあれぇ〜。ぶつかる〜。」
ドスン。
それは僕の上に落ちてきた。
「やあやあ。転生者君。私はルノアール君は?」
「重いんだよ。降りろ。着地ぐらいどうにかしろ。」
「まあまあ、名前は?」
彼は、僕に手を伸ばした。その手を取らず一人で立つ。
「雅貴だ。」
「雅貴かいい名前だね。」
腰にかかるほどのライラック色の髪を三つ編みにしている彼は、浮世離れするぐらい美しかった。
「さぁ雅貴、皆の元へ行こうか。私に捕まって。」
「いっくよー。せーのジャンプ!」
「えっちょっおい。」
身体が宙に浮く。数度地を蹴るだけで城下町に着いた。
「なぁ、さっきから男しかみないが。」
「そらそうだろう。この世界には男しかいないからね。」
「どういうことだ?」
「女は数千年前に絶滅した。女の絶滅と共に、男も子を産めるようになった。」
「そうか。じゃあ皆、長髪なのは何故だ?」
「何故ってそれが普通だが?そうだ、言い忘れていた。マサキの身体もそのうち作り変わる。だから、雅貴も子を産めるぞ。」
「げっ、それは勘弁だな。」
そんな話をするうちに、古びた平屋に着いた。
「皆、ただいま。」
そこには三人の男がいた。自己紹介によると以下のとおりだ。
赤髪の癖っ毛
肩ぐらいの髪をハーフアップ
緑眼
2個前の転生者。
28歳
ルイル
金髪サラサラヘア
ミディアム
オレンジとグレーのオッドアイ
この世界の人
24歳
黒髪短髪
黒目
1個前の転生者。
18歳
ルイル「身体が作り変わると髪色も眼の色も自然に変わるよ。」
雅貴「じゃあ大輝は、まだなのか?」
大輝「いや俺は終わってる。ただ魔法でそう見せてるだけだ。」
雅貴「魔法が使えるのか。」
凌駕「身体が作り変われば自然にね。」
それからルイルはこの世界について説明し始めた。
この世界の人々は普通魔法が使えること。転生者は身体が作り変わると同時に、普通魔法が使えるようになる。その上、転生者にだけ特別魔法が使えるようになる。その特別魔法で世界を救って欲しいと言うことだった。
雅貴「世界を救うって?」
ルイル「レメと呼ばれる、黒い球体に勝って欲しい。」
雅貴「負けたら?」
ルイル「世界が終わる。」
沈黙が流れる。重い雰囲気だった。
凌駕「この建物は転生者が住まう場所だ。」
ルノアール「大家は、私だ。」
雅貴「ルノが大家か。」
一同「ルノ?」
雅貴「あだ名だ。ルノアールは呼びにくいだろう。」
ルノアール「良いね!!気に入った。これからルノと呼びたまえ。」
その後は部屋に案内された。二人一組の相部屋で僕はルイルと相部屋らしい。部屋に向かう途中の事だった。
ルイル「雅貴。ルノはああ見えて、とてつもない遊び人だ。」
雅貴「そうなのか?」
ルイル「食われないよう気をつけろ。」
とても信じられないが、有名な遊び人らしい。しばらく過ごすとそのことが痛い程分かった。毎日違う相手を連れ込んで、たまに平手打ちなりグーパンなどをくらっている。
「こんなに美しい私の顔を殴るなんて。」
殴られた後、そんなことを決まって言う。なんてナルシストなやつだ。呆れる。
ルイル曰く、誰の事も本気にしないルノの特別になりたいという人が付き合ってなどと言うらしい。その度にこっぴどくふるのでかなりのスパンで殴られるそうだ。最初から恋人作らない、あくまでも遊びと言いきっているルノからしてみれば、無理な願いだしそれで殴られるのは筋が通っていないのだろう。なんだかなぁ。
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