I染めモラトリアム
いとま きの
序章 邂逅
染まる
走る。
走る。
酸欠により揺れる嫌味なほど綺麗な朝焼けが目に染みる。
つかまってはいけない。絶対に。
___なんで捕まったらいけないんだっけ?
室外機を乗り越え、路地に飛び込む。
「あっ居たぞ!あそこだ!そこの路地曲がった!冥色の奴!」
「手間取らせやがって……!!追え!」
体格の良い男の手が背に触れそうになり、すんででかわし近くの赤錆びた自転車を数台押し倒し男の進路をふさぐ。
同時に自身も割れた植木鉢の上に倒れるも回転し何とか立ち上がる。
「ぐっ……っはぁ……に、げなきゃ……俺は……おれ?」
頭痛がひどい。なんで逃げてるんだっけ。
でもここにいてはいけない。あいつらにつかまってはいけない。
固く握りしめた拳の中にある、固い感触に不意に安堵する。
____これを、あいつらに取られてはいけない。
平衡感覚をとうに失い、満身創痍の躰に鞭を打つ。
せめて、だれか___大人のいるところへ。
秋めいた冷えた空気を肺に送り込み、震える足で日陰の境界線を__抜けた
「きゃあ!?な、なに!?」
あ、ひとだ。追手ではない。知らないひと。
直後、強い衝撃を感じ、今度こそ視界は白く染まった。
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