恋愛ゲームのサポート役として転生した俺に、負けヒロイン達が失恋した責任を取れと日々迫って来る件
冰藍雷夏『旧名は雷電』
第1話 ハッピーエンドのその先へ………責任を取りなさいよ~!
「
「私も……
ここは桜の木が立っている人気の無い校舎裏……目の前ではこの世界の主人公とメインヒロインがハッピーエンドを迎え抱き合っていた。
俺の名前は
恋愛ゲー〖私を好きなだけ追い詰めてダーリン。余所見はNoneNone〗の主人公〖
そう! この世界は俺が生前愛して止まなかった恋愛ゲームの中の世界。主人公の太一が癖強で個性溢れるヒロイン達とキャッキャウフフする世界。
だがここは普通に時は流れもあるし生前の現実とそんな大差ないリアルだった。
そんな恋愛ゲームの主人公親友ポジションとして生きる俺。
これは多分、〖私を好きなだけ追い詰めてダーリン。余所見はNoneNone〗の主人公の設定が容姿が普通、運動も普通、勉強も普通。
普通普通と平均的な男子高校生のスペックだから、その親友ポジションキャラの俺はわざと高スペックキャラにして、
恋愛ゲーの主人公が自称普通の高校生は鉄板だからな。
それに流石は主人公。本編スタートの入学式が始まって以来、〖私を好きなだけ追い詰めてダーリン。余所見はNoneNone〗の恋するヒロイン達と着実にフラグを立て、高スペックの俺が隣に居るにも関わらずヒロイン達は太一にメロメロあの手この手で
まぁ、それもこの俺が全て阻止させてもらったがな。それも太一の気持ちを組んでの行動だ。俺は悪くない。多分な。
太一はこの恋愛ゲームのメインヒロインで学園のマドンナの
そんな
俺は大切な親友から
そうかそうか。ならばこの俺が恋のキューピットになってやろうと立ち上がり。見事この2人をくっ付ける事を完遂した。
元々、生前にこの恋愛ゲーをプレイしている時も、俺の中ではあの2人をベストカップルと感じていたし、お互いの思いが通じあっているなら付き合わせてやりたくなるのが親友ポジションというものだろう。
「うんうん……良かったな。太一……
ハッピーエンドを迎えた2人を見て、俺は感動のあまり泣きじゃくっている。そんな俺に気づいたのか太一の奴が満面の笑顔で俺を向かってピースサインをしている。
他のヒロイン達からの誘惑に耐え、純血を守り抜いた男の子笑顔だ。面構えが違う……今、思えば俺はあの光景を至近距離から見続けてきたんだよな。エロかったな……ヒロイン達の水着イベントの時は。
「………太一君」
「………
おっと。太一と
「たしか。両想いになった後の2人はこの後、熱いキスを交わし合うんだったな……お邪魔な俺はクールに去るか。アディオス! 親友~! 幼馴染みよ。幸せにな!」
俺は恋人となった2人を背にクールに去り、校舎の中へと入って行った────
「オラァア!! 何を涼しい顔して去ろうとしてるのよ。私が失恋した責任取りなさいよ!
「ゴォア?! 強烈な腹パン……お前は……負けヒロイン。
「誰が負けヒロインよ! ぶち殺すわよ!」
「ゴボァ? またも強烈な右ストレート腹パンだと?」
金髪、ツインテール、猫目、整った顔、美少女、巨乳、ニーハイソックス、属性てんこ盛り。
流石は恋愛ゲー〖私を好きなだけ追い詰めてダーリン。余所見はNoneNone〗では不動の人気No.1ヒロイン、
そんな超絶美少女の有栖川が、俺に容赦ないオラオラ攻撃を仕掛けてくる。
「ゴホゴホ……お、落ち着け。有栖川! 俺は何も悪い事をしていない。そして、誰も悪くない! 全てはハッピーエンドでさっき終わったんだ」
「何がハッピーエンドよ。散々、私が太一と結ばれる邪魔をした分際で! 太一は
有栖川はそう叫ぶと太一と
「ま、待て! 有栖川! そっちには行くな。行ったらお前はこの先地獄を見ることになるぞ」
そう。あのハッピーエンドのその先へと旅立った2人の濃厚なキスシーンを
だから俺は止めようとしたね。うん。頑張ったよ。そして、間に合わなかった。
有栖川は見てしまったんだ。
「お、おい! 有栖川。1度冷静に……」
「シャアアアアア?!!」
俺が校舎裏へと着くと、声にならない声で有栖川が叫んでいた。
「うわ……糸引いてんじゃん。アイツ等、どんだけ濃厚なキスしてたんだ」
「…………パフゥ」
有栖川は立ったまま気絶した。
「お、おい! 有栖川。し、しっかりしろ。有栖川。戻って来いー!」
これはハッピーエンドを迎えたその後の物語。バットエンドから始まる負けヒロイン達の新たな恋を模索される物語。
そんなバットエンドな物語の責任を取らされるのは俺なんだが。何でこんな事になったんだ。俺~!
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