第13話 Surprise
冬の風はことさらいたずら好きで、いつも私の気づかないところから服の中に潜り込んでくる。今日は終業式。冬の終業式は、とてもロマンチックな情景になるような気がしていた……実際はそうではなかった。校長のくどくどしい話は、空いっぱいの鋭い矢のように私たちの心情を苛立たせ、まさに地獄だ。
原葵が今日戻ってくる。美しくない中のわずかな良いことと言えるだろう。彼女にとってこれが最後の終業式ではないと信じている。これからもっと多くの終業式があり、もっと多くの素敵な思い出が待っている……この言葉にできない気持ちを抱きながら、私は学校へと歩いていく。真っ白な塀の外でさえ、様々な金管楽器と木管楽器のチューニングの音が聞こえてくる。吹奏楽部が終業式で演奏するらしい。新たな吹奏楽部、新たな部長が、大会にどんな変化をもたらすのか、とても楽しみだ。
校門の両側にはまだ消え残った雪が積もり、道には水たまりが残っている。校庭はがらんとしており、普段ならスポーツ活動に参加する人々で溢れているはずだ。背後から慌ただしい足音が聞こえてくる。革靴特有の響きだ。私は少し振り返り、まず目に飛び込んできたのは、空色の彩りだった。
「寂しかった?」
「少しね」
前もって知ってはいたものの、やはりとても驚いた――原葵が目の前に現れたときには。
「久しぶりの制服だね」。原葵は新しい制服、空色のブレザーと空色のひざ丈スカートに身を包み、彼女独特の魅力を放っていた。
「足、寒くない?」。それが私の第一印象だった。
彼女は私を一瞥し、手を腰に当てた。「あなたって、随分と変なところに気がつくのね~」。そう言い終えると、手を伸ばして髪留めの位置を直した。銀白色のハートが頭頂部に留められている。うん、彼女に似合っている。
しばらくすると、原葵は彼女の戻りに気づいた友人たちにぐるりと囲まれてしまった。ハリウッドスターのようだ。
「原葵!ついに戻ってきたね」
「体、大丈夫?」
「病気、重かったの?」
「平気?」
原葵は笑いながら手を振り返える。「一度にそんなにたくさん質問されても答えきれないよ」
本当に騒々しいな。私は仕方なく小説を開いた。古びた紙の手触りはとても滑らかで、ページをめくる音は私に言いようのない安らぎを与えてくれる。
「3組のみなさん、移動してくださいまし~」。腕に空色のリボンを着けた女生徒が私たちに手を振った。吹奏楽部が最後のパート練習を行うため、一時的に私たちの教室を借りるらしい。南加紀高校では、空色のリボンは吹奏楽部員の印だ。手を振ってくれたのは副部長の田嶌さんだった。彼女は一同を見回し、やがて視線を原葵に固定した。
「斎原葵さん」
「は~い」
「部長が呼んでるよ。来てくれる?」
原葵の肯定的な返事を得ると、田嶌さんは再び声を張り上げた。「他の人は早く移動してくださいまし~」
太陽は果てしない暗雲に遮られ、灰色がかった色彩が世界を覆っている。薄暗い廊下で、傘織と原葵が並んで立っていた。色が明らかに異なる二つの制服は、一目見ただけで区別がつく。
傘織は細い手を伸ばし、そっと原葵の腕を掴んだ。空色のブレザーには少し皺が寄った。
「私たちの演奏、ちゃんと聴いてね」。傘織の黒いスカートがわずかに揺れた。「これはあなたへの贈り物です」
原葵はぷっと笑い声を漏らした。「これは権力の乱用じゃない、部長さん?」。笑いながら、傘織の腕に着けた空色のリボンをまっすぐに直す。「ちゃんと聴くよ。頑張ってね」
傘織は黙ってうなずいた。原葵は突然何かを思い出したように、
「あ、吹奏楽部のあの掛け声って何だっけ…あの…」
「南加紀ファイト?」
「あ、そうそう、南加紀ファイト!」
二人は一緒に高く拳を掲げた。「おーっ!」。巨大な蒼穹を背景に、青と白の二つの袖が揺れる。傘織はそんな原葵を見て、重荷を下ろしたような笑顔を浮かべた。「原葵は相変わらずだね」
原葵は少し首をかしげた。「それ、褒めてるの?」
「褒めてるってば!」。傘織は突然原葵を抱きしめた。空色と白が混ざり合い、一際輝く星のようだった。
「では、次のプログラムに移ります」。校長の退屈な挨拶が終わり、壇下にはざわめきが広がった。「南加紀高等学校吹奏楽部による演奏です」。壇下から歓声が沸き起こる。人気が高い。校長先生はこの光景を見てひそかに傷ついているのではないだろうか。
部員たちは続々と60脚以上の椅子、楽器、譜面台を舞台に運び上げる。譜面台には学校指定の譜面カバーが置かれている――空色を基調とし、純白の字体で「Southern California High School」の文字が書かれている。物を動かす摩擦音が消えた後、傘織がフルートを手に舞台に上がる。肩の空色のリボンがそれに合わせてひらりと揺れた。一礼すると、傘織はマイクに向かってゆっくりと口を開いた。「皆さん、こんにちは。私は南加紀高等学校吹奏楽部、部長の夏傘織です」
壇下から再び歓声が上がる。
「先生方、生徒の皆さんのご支援により、今年は多くの優秀な新入生を迎え、吹奏楽部全体が生まれ変わりました」。少し間を置いて。「それでは、私たちの演奏をお聴きください。――『salute』です」
クラリネットのソロで始まる。旋律は美しく層を成し、音符はシンプルながらも情感に満ちている。それに金管楽器が加わり、歌声は暖流のように心に流れ込んでくる。私は無意識に原葵を見た。彼女はぼんやりとその場に立ち尽くし、一緒に合唱する周りの人々とは明らかに異なり、目には涙があるように見えた。
「あなたはもう一人じゃない」という情感が歌全体に満ち、温かい旋律が寒い冬の中に溢れ出す。あなたはもう一人じゃない……
続けて、ジャズ調の『sing, sing, sing』や、皆よく知っている『天国と地獄』、『帝国のマーチ』が演奏され、皆の熱気は高まり、これが元々は終業式だったことを忘れてしまったかのようだった。
「吹奏楽部最高だ!」。これは私が壇下で最も頻繁に耳にした言葉だ。このような情熱と人気があれば、当然のようにさらに多くの優秀な新入生が南加紀に集まり、それによって好循環が生まれ、どんどん強くなっていく。
演奏が終わると、傘織はフルートを椅子にそっと置き、再びマイクの前に歩み出た。室内の照明が上から彼女を照らし、着けているバッジの表面で空色の光と黄金色の光が交錯し、幻想的な輝きを放っている。
「改めて、私たちの演奏を聴いていただきありがとうございました」。彼女は深々とお辞儀をした。「皆さんの期待を背負って、全国进军の機会を決して逃しません」。その後、高々と拳を掲げ、背後にいる部員たちもそれに続いた。
「南加紀ファイト!」
「おーっ!」
「傘織、眩しいよ」。原葵と並んで歩きながら、私は思わずそう言った。
「へえ」。彼女は驚きと茶番じみた表情を浮かべた。「今はそんなことを言うんだ?」
「当然」というよりは、「君のおかげ」だ。
「来週、手術だね」
「うん」。彼女は腕を伸ばして体をほぐした。「ちょっと怖いな~」
彼女がそう言うのを聞いて、胸に焦りのざわめきが生じた。
「大丈夫だよ」。生死を前にして、この言葉はなんと無力で薄っぺらに聞こえることか。
意外にも、彼女は笑顔を見せた。「何度も言ってくれたね。ちゃんと覚えておいたよ」
私は苦笑いを浮かべた。「そうだったね」
身近な気配の動きを感じた後、私は原葵を見た。彼女は空色のブレザーを脱ぎ、中の白い制服を現した。
「これをあげる」。彼女はうつむき、その空色のブレザーを見つめた。もみあげの髪が前髪の方に滑り落ちる。ブレザーの胸の位置には「斎原葵」という文字が刺繍されている。
「私に?」
彼女は空色のブレザーをきれいに畳んで私に手渡した。「大切にしてね。世界にもう一つとないものだから」
「大切にするよ」
私はその空色をじっくりと眺めた。視界の隅で、原葵のひ弱な体躯に気づき、急いで口を開いた。「寒くない? ブレザーを私にくれるなんて」
彼女は襟を折りながら首を振った。「そんなことないよ。どうしても言うなら、ここら辺がちょっとすきま風が入るかな」。首元を指さした。
私は急いでリュックのポケットから真新しいマフラーを取り出した。「はい、どうぞ」
「わあ、サプライズ~」。彼女はそのオレンジ色のマフラーを受け取った。
「元々は君の誕生日にあげようかと思ってたんだ」。私はどうしていいかわからず頭をかいた。数日前、デパートで家族と出かけている時に偶然このオレンジ色を見つけたのだ。
彼女はオレンジ色のマフラーを首に巻き、空中に息を吐いた。空気中に instantly 白い息が広がった。「このマフラーを見るたびに、あなたのことを思い出しそうだね」
「そんなこと言うのはちょっと意地悪だよ」
「全然~」
気楽な会話は、残酷な現実を忘れさせそうになる。恐れに直視することはできない……
「どうだった?」。傘織が堅苦しく原葵の前に歩み出た。「私たちの演奏」
「すごく良かったよ」
肯定的な返答を聞くと、傘織の元々張り詰めていた顔も次第に和らぎ、日差しの下で再び輝きを取り戻した。
華森の姿が階段口で一瞬ちらりと見え、その後「さっ」と私たちの前に現れた。「皆いるんだね」。彼の視線は傘織の上で特に数秒長く留まり、額には豆粒のような汗がにじんでいた。「どこを探しても君たちの姿が見えなかったよ」
「ああ」。傘織は笑いながらポケットからタオルを取り出した。白い布地には青い糸で「夏傘織」と名前が刺繍されている。「ご苦労様」。彼女はそっとタオルで華森の額の汗を拭った。
華森は顔を少し赤らめて、「ありがとう。君もご苦労様」
「お~」。傘織は茶番じみた表情を浮かべた。「恐れ多い、私に感謝してくれるなんてね」
「君って本当に性格が悪いな」
「へへへ」
原葵は手を拡声器の形にした。「イチャイチャはここでは禁止ですよ」。その後、私を一瞥した。私はすぐに合点し、指でバツ印を作り、続けて「禁止……」
二人はたちまち顔を赤らめ、小声で言い訳した。「そんなことないよ……」
「ははははは……」。忘れることを象徴するような笑い声が陽気に道に響き渡る。空は単調な光をきらめかせている……あの春の日に、もし私が原葵に会わなかったら、世界はどう変わっていただろう、と考えたことがある。
彼女は私の全てだ。そう言っても何も問題はない。利己的に言えば、私も彼女を変えた。むしろ、彼女が私を冷たい海水から救い出し、私が彼女と共に歩み、彼女が立ち止まった時には手を差し伸べ、彼女を連れて前進し続けるようなものだ。
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