六つ目

不安の九割は杞憂だと言うが、そちらの方が良い。

不安は確定させるべからぬ絶望の溜まり場である。掃き溜めには時に劇物が潜むものである。劇物が見当たらないから不安であり、逆接に目の肥えた人間には純然たる暗澹を視認出来るのである。

不安というものは、消化すべき義務である。

人間味のある将来に対しての朧気な思案。其に、黒い霧の様相で付いて回るのが不安である。短絡的に、将来とは義務であり、将来とは不安であるからして、不安とは義務である。

霧散には時期が有る。其は当時だ。

過去に将来だと思った当時、義務を全うする当時。不安は、其時に解消せられる。事前に失せることもあり、其は目の肥え様で違う。近眼は手元に在る薬草を食し、千里眼へと成り果てるにつれ不安を否定する。しかし、不安とは将来であるために、幾億の可能性の内、絶対に一つは選ばれるものであり、八万里眼の見通しは予言するように揺るぎない事実を言い当てる。其が、望みの皆無な絶対的暗然としたら。全ての不安を習合させようと覆い隠すには、情報の蓄積でパラドックスすら発生しない特異点の露出した無限小の点が、検閲もされずに私を引きずり落とす。

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