The star ancestors
この世界には神が居た。神は宇宙に散らばっている星屑を両手で掬い取ると、それを丸めて大きな星を作った。次に他の星を呼び寄せると、自分と似た形になるよう言いつけた。6つの星たちはそれぞれ光り輝く人間の姿になった。
「お前たちは今私が作った星に行き、人々を教え、守りなさい」
神は彼らにこう言った。星たちが大きな星に赴いた。そこには神がつくった人形たちがいた。彼らは星の輝きで目覚めると、星たちの話に従順に聞き従った。人間たちは火を与えられ、家や道具の作り方を教わった。世界は星の輝きと、幸せにあふれ常に昼のように明るかった。
6つの星の内、一つは若い星だった。青白い瞳は燃え上がるかのように輝いていた。彼は宇宙で最も遠い星だったため、その外側を見る事が出来た。彼は人間と暮らしながらも、その外側の事を心配していた。なぜならそこには巨大な闇がうごめいていた。もし闇が宇宙へ入ってきたら、自分たち星の力でも到底かなわないだろうと考えた。神は彼の心配を聞くと、それは自分のことを信じていないものと同じだと言い、あろうことか彼を宇宙の外へ放り出してしまった。残りの星たちは神の仕打ちに震え上がると、誰一人として宇宙の外について声を上げなくなった。そして数百年の間若い星は忘れ去られ、人々も土地を広げ裕福になっていった。
ある時突然星たちが輝きを失った。宇宙の外の闇が、とうとう流れ込んできたようだった。神は星たちに戦う様言いつけた。だが輝きを失った状態では力を使えなかった。闇は星たちを吸い込むと、世界を完全な暗闇に包み込んだ。人々は絶望し、あの若い星の話を聞くべきだったと後悔した。その後悔が人々から出ていき、新たな闇を生み出した。時を追うにつれ深まっていく闇の中、人々は諦めかけていた。
星たちは吸い込まれた闇の奥で青白い光を見つけた。それは紛れもなくあの若い星だった。彼は星たちを集めると、闇の中にそれぞれの光が閉じ込められている場所があると教えた。星たちは人々を救うため、光を取り戻しに行くことを決めた。
初めの星は燃え盛る火山の底に光を見つけた。光を取り戻すと、彼の瞳は火のように赤く燃え上がった。
二番目の星は生い茂る木々の中に光を見つけた。光を取り戻すと、彼の瞳は草のように柔らかい緑になった。
三番目の星は凍えるような氷の中に光を見つけた。光を取り戻すと、彼の瞳は雪のように冷たい水色になった。
四番目の星は輝く黄金の中に光を見つけた。光を取り戻すと、彼の瞳は金塊のように光る金になった。
五番目の星は透き通った紫水晶の中に光を見つけた。光を取り戻すと、彼の瞳は夜空のような紫になった。
星たちは若い星の元に戻った。彼らは力を合わせると、内側から闇をかき消し、人々をもう一度照らし出した。人々は感激し、その中にもう一度あの若い星の姿を見つけ彼に神の代わりになるよう頼んだ。他の星たちも彼を支持し、6つの星は神に戦いを挑んだ。神は戦いに敗れ、若い星がその玉座についた。星たちは星屑を集めると、それぞれに自分たちの光を灯し人間の形にした。星の力を宿した人間たちは、輝く瞳と髪を持ちある時点から年をとらなくなった。星たちは彼らに向かい、もしまた人々に危険が迫れば共に戦う様言った。彼らは星の子孫と人々から呼ばれ、危険が迫るたびに集まり、戦うようになった。この国がユリーニ王国となった今でも星たちは星の子孫を作り、ひっそりと母親に渡している。
テルソート王国・星の神話、星の子孫の伝説
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