デリヘル星から来たアイドルちゃんの本音。

猫の尻尾

第1話:デリヘル星からやって来たアイドル。

いきなりだけど、ず〜っと彼女がいない僕・・・だから彼女が欲しい。


僕の名前は「長竿 亀太ながさお かめた」25歳・・・広告会社

に勤めていてTシャツプリント部の企画デザインを担当している。

未だ独身・・・彼女いない歴・・・忘れた。


会社は男中心、女性もいるけど、自分のタイプじゃなきゃいても意味がない。

ここままじゃ干からびてしまいそう。

チンチンだって、ひとりでする時以外、もう何年も使ってない。

寂しい思いをさせてるから、ぜひとも女性をあてがってやりたい・・・

とは思うけど・・・これも縁・・・いくら頑張っても必ず彼女ができるとは

限らない。


女の子なら女子高生から、女子大生にOLさん、年上のおネエさん、人妻に

メイドさんに看護士さん、果てはエルフに天使に小悪魔、異星人も含めて

およそ女子と呼ばれる異性は架空の人物であろうが全部好き・・・

だけど現実の中でしか彼女は探せない。


彼女ができないなら、いっそレンタル彼女とかデリヘルなんていたれりな代行

サービスでも利用してみようか・・・。

彼女は欲しいけど当面のつなぎとして・・・疑似体験でもいい・・・

綺麗で若いお姉ちゃんとエッチしてみたい。


デリヘル、デリバリーヘルスとは、派遣型のファッションヘルスのこと。

出張ヘルスとも呼ばれる。

デリヘルは、あくまでも「疑似恋愛」「疑似性交」を提供するお仕事。

いわゆる本番行為はすべてのお店で禁止されているのです。


そもそも、お金などといった対価と引き換えに行う本番は売春にあたり、

「売春防止法」という法律でも禁止されている違法行為なのです。

だから期待してデリヘル嬢を呼ぶのはいけません。


だけど期待しない訳ない。

でも、まあいい・・・ダメでも可愛い女の子がアパートに来てくれたらいいよな。

なにをしてくれるのか知らないけどが僕んちに来てコーヒー入れてくれたり

ご飯作ってくれて一緒の時間を共有してくれたらいいな〜。

僕は女の子なんかナンパできない性分だから、なおさら興味を惹かれた。


そんなだからデリヘル嬢に来て欲しいって願望がめちゃ強くなって行った。


でもデリバリーはデリバリーでも僕のアパートを訪ねて来た女の子は、いわゆる

デリバリーヘルスとは程遠い存在だった。


そして、それが起きたのはある土曜日の昼前だった。


僕の独り住いの安アパートに一人の女性が訪ねてきた。

ドアスコープで覗いたら知らない女・・・半信半疑でドアを開けた。

そしたら、歳は分からないけど、僕よりは歳下な感じの女の子が立っていた。


会ったことも、見たこともない女の子。

アイドルが着るようなぶりっ子なメイド衣装を身につけていて髪はピンクの

ロングでめちゃくちゃ可愛いかった。


「え?何かのサプライズ?・・・それとも勧誘?営業ですか?」


狐につままれたってのはこのこと。


長竿 亀太ながさお かめた」さんのお宅でしょうか?」


「そうですけど・・・なんかドキドキするんですけど・・・」


「私、デリヘル星からやって来た「プリティーズってアイドルグループの

メンバーのひとり「尻野 アナ」って言うの」


「はあ、どうも・・・尻野さん・・・アナちゃん・・・って言うか?」

「今、なんて言いました?・・・デリヘル星?・・・星って・・・宇宙?」

「そう言うネーミングのデリバリーヘルス?」


「デリヘル星は銀河に存在する惑星です・・・私、遠い惑星から地球に出稼

ぎに来たんです」


「うそ〜・・・デリヘルってちょとエロそうな話から、いきなりSF的な話に

なる訳?」

「だけど僕は・・・君を頼んだ覚えないけど・・・」


「はい・・・私たち、プリティーズのメンバーひとりひとり独身男性の、お宅に

ランダムにお伺いしてるんです」


「それはまた・・・でも・・・なんで?」


「話せば長いことながら・・・短く説明しますと、私たちデリヘル星で

プリティーズってアイドルグループしてたんですけど、ガールズグループの

ライバルが多すぎて、まったく売れなくて・・・そこで星を離れて地球を拠点に

活動しようと意を決してやって来たんです」


「へ〜そうなんだ・・・人気ないの?そんなに可愛いのに?」


「事務所の力が弱いもんで・・・」

「今も言ったようにデリヘル星はもうアイドルグループ過密状態なんです」


「まあ、地球も同じようなもんだよ?」


「デリヘル星よりはマシです」

「そこで申し訳なんですけど、竹内さんのお宅を拠点に私、宣伝活動

をさせていただこうと思いまして・・・今日から早速、お宅にお世話になり

たいんですけど・・・よろしいでしょうか?」


「よろしいでしょうかって?・・・なんか支離滅裂だし無茶苦茶だな」

「異星人が僕んちに尋ねてきて居座ろうって・・・そんなことある?」

「つうかさ、こっちで活動するんなら、どこかに事務所借りて、そこを

拠点にすりゃいいじゃん」


「貧乏事務所だから、地球に来るのが精一杯で事務所借りるなんて、そんな

資金も余裕もないんです」

「だから長竿さんちで、お世話になりたいんです」

「私のことお断りしていただきてもいいですけど・・・長竿さんがダメって

おっしゃるなら他の独身男性探すしかありません」


え?他の男のところに行くの?


その時、僕はめっちゃ打算的になった。

異星人と言えど、こんな可愛い子滅多にお目にかかれない・・・ここで彼女の

申し出を断ったら、僕の人生大きな損失。

うまくいけばアナちゃんに彼女になってもらえるかも、しかも異星人が彼女

ってめっちゃレアじゃん・・・若いし・・・なによりアナちゃんは可愛い

から・・・。


「いいよ・・・この家を拠点に自分たちのこと地球の人にアピールすれば?」

「他の男のところになんか行く必要ないからね」

「君を追い出したりしないから・・・アナちゃん」


「よそに行くって言っても行かせないよ、僕は・・・」


その時の僕は半ばアナちゃんのストーカーみたいになっていた。


つづく。


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