第106話
本っっっっっっ当に信じらんない。元々信じられないけど、今回ばかりは本当の本当に、心の底から信じられない。
学校だよ?? 放課後で、校庭で部活をしてる生徒とか職員室で仕事してる先生以外誰もいないとしても、学校だよ??
お互いの表情もよく見えないくらい暗くなった教室で、ぐったりしてる私は足どころか全身に力が入らなくて立てなかった。
今はあずき先輩におぶられて帰ってるとこ。鞄は教室に置いてきた。
「怒ってる?」
そんなことを聞いてくるわりには、その声色は楽しそうだった。
「今はそんな元気無いですよ」
「はは。だろーな。」
「貴方のせいですからね?」
分かってます?
暗くて見えないけど、赤錆色をした髪を指先で引っ張りながら訴える。硬めのツンツンした髪質が指に伝わる。
「くすぐったい。」
「あずき先輩の頭を見下ろすのって新鮮です。」
私の身長じゃ、どうしても見上げるばっかだからね。
滅多にない機会だからとあずき先輩の頭を見下ろす私。
先輩の背中、意外と大きいな。高身長だから細身に見えるけど、結構ガタイは良いもんね。
この制服の下に太陽のタトゥーがあるなんて誰も思わないんだろうな。左手のやつは、ちょっと見えてるけど。
最初に見た時は怯んだのに、今はなんとも思わないっていうかたまに賑やかな身体だなーって思うくらいで。
「あずき先輩。」
「ん?」
「なんで太陽なんですか?」
「…………タトゥーの話?」
私が何のことを言ってるのか、少し考えてから先輩が言った。
「そうです。」
「大した理由じゃねーぞ。なんかいい感じだったからだ。」
「いい感じ。」
「だいたいそんなモンっしょ? 服と同じ感じで」
服と同じ感覚でタトゥーっていれるものなのかな……。
「つっても背中だから、俺からはそんな見えねーけどな。」
「賑やかな背中してますよ。」
「そりゃいいな。」
そんな話をしてたはいいけど。
「先輩? これちゃんと帰ってます?」
「ちょっと寄り道。」
まだ帰る気ないのかこの男は。まぁ、でも、あと二週間すれば卒業するし、ちょっとでも長く高校生でいたいのかな?
あと二週間。二週間したら、学校であずき先輩と会うことはなくなるんだ。
やっぱりちょっとは寂しくなるものなのかな?
いやいや、今日この人に何されたか忘れちゃいけない。この変態からセクハラされる機会が減るだけ喜ばないと。
「立てる?」
あずき先輩にゆっくりと下ろされた。ちょっとまだふらつくけど、立つ分には問題なさそう。
ガードパイプに腰掛け、煙草を取り出すあずき先輩。私もその隣に腰掛ける。
「あずき先輩は寄り道ばかりしますね。」
「学校外の貴重な自由時間で遊べんのは高校生までだろ? 卒業すりゃ遊ぶ時間は増えんだろーけど、その分行動に責任もついてくるからな。」
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