出発


 出発の日、総本部前の広場でぼくが双刀の確認していたら月音センパイがやって来た。


「星、十分に気をつけてね。もし鬼と交戦するようになっても無茶な戦いはしては駄目よ。星に何かあったらわたくしはとても悲しいわ」


 そう言ってセンパイは頭を撫でてくれる。


「大丈夫です、必ず任務をこなして帰って来ます! ぼくはいずれ国一番の討鬼師になるんですから!」


「そうやって功に焦っては悪い結果を招くのよ」


「そ、それはそうかもしれませんが、ぼくは月音センパイの隣に立っても恥ずかしくない立派な討鬼師になりたい。そしていずれはセンパイや国の皆を守れる人になりたいんです!」


「……そう、星はやっぱりわたくしとはのね」


 違うとは、どういう意味だろう? センパイとぼくは鬼に家族を殺され、それをきっかけに討鬼師を目指した。憎い鬼を殲滅し、人々に平和をもたらそうとするぼくらは同じだと思うのだけど……。

 困惑していると、身の丈より大きな槍を担いだ昴さんが近づいてくる。


「月音、後輩をあまり過保護にするのはよくないぜ。それに、心配するなら幼馴染みで色男なこの俺のこともしてくれなくちゃなぁ」


 月音センパイの顔がスンッと真顔になるのだが、昴さんは構わず続ける。


「俺がいなくて寂しいかもしれないが、帰ってきたら相手してやるから」


 そう言って昴さんはセンパイの肩に手を置こうとしたのだが、月音センパイはそれをスッと避ける。


「星、昴は人間性に問題があるけど腕だけは立つ男よ。もし鬼と戦うようなことがあれば彼の指示を仰ぎなさい。それ以外では喋る必要はないわ、性悪がうつりますからね」


「めちゃくちゃ言うじゃん」


「昴、花月さまのことは勿論、星のことも頼んだわよ」


 ぼくとしては昴さんなんかのお世話になりたくはない、そんなことを思っていると花月さまが広場へと出てこられた。

 花月さまがお輿に乗られ、ぼくを含めた30名程の討鬼師の一行は里を出発する。


「星、行ってらっしゃい。必ず帰ってくるのよ」


「勿論です!」


 センパイに手を振り返し、ぼくは連なる赤鳥居をくぐった。

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