第12話 プレミアム寝取り配信
――――【哪吒目線】
ゆきに見せられた配信動画で、嬉々として地均ししていたことを思い出していると、ゆきが上目遣いで様子を窺うように俺を見てくる。
『哪吒くん、まだ怒ってる?』
ゆきは俺に相談なく颯真のパーティーに加入したことを気にしているようだった。
『怒ってないよ。ただ颯真はよく無茶をするときがあるから、そのときはあいつを一緒に説得してほしいんだ』
『うん』
ゆきは一軍女子とも思える程に垢抜けていたが、今までと変わることなく小さな子どもが見せる屈託のない笑顔を俺に向け返事をしていた。
俺は彼女のそんなところに惹かれていた。以前と比較にならないくらいかわいくなったが……。
『俺は素朴で素直なゆきのままでも何の不満もなかったんだけどな……』
『哪吒くん、何か言った?』
『いや……なんでもない』
颯真に『パーティーに加入するためには動画映えするために容姿にも気を使え』とか釘を刺されたのかもしれない。
短くなったゆきの制服のスカートから覗くふとももに思わず視線が誘導されてしまいそうになっていたときだった。
ピロン♪
彼女のスマホが鳴ったことで俺は何食わぬ顔をして視線を外した。
『あ! 颯真くんからだ!』
ゆきの声が今日一番に弾んだような気がした。
ゆきは颯真と直接やり取りしてるのか……って、そりゃパーティーメンバーだからおかしいことじゃない。
そりゃそうか……。俺みたいな冴えない男と一緒の
そもそも今まで、ゆきの知ってる男は俺だけなんだから。子ども頃からずっと一緒だった幼馴染みのゆきが真実の愛に目覚めたという来るべき日が来たら、二人の門出を心の底から祝ってあげたい。
ゆきの兄貴になったような気分でいる俺の隣で、彼女はスマホの画面をじっと見つめていた。
『これから10万回再生のお祝いに行こうってさ』
颯真からのメッセージをうれしそうな顔で、俺に見せるが……。
『ごめん、俺……雛子のところに行ってくるよ。ゆきは俺に構わず、みんなと楽しんで来て』
『……ありがとう、哪吒くん』
ゆきは一瞬間を置き寂しそうな顔をしたが、せっかくの明るい話題なのに、俺はパーティーのみんなに水を差したくなかった。
ゆきと分かれた俺には行くところがあった。行き先は東都大付属病院。迷宮探索校から徒歩で十分も掛からない距離にあり、俺が東都を選んだ理由でもある。
都心にドーム球場が幾つ入るのか分からないくらい広大な敷地を持つ東都大付属病院、病棟はまるで住宅団地のように林立しており、俺の妹の雛子は療養区画サナトリウムにいる。
昨晩雛子が
【701】
俺は意を決して病室のスライドドアを開けた。
――――【ゆき目線】
颯真くんに誘われ、私は駅前のカラオケハウスにいた。
『たくっ、あいつらは何してんだよ。遅刻したらダンジョン往復100周って言ってあんのに!』
『あ……哪吒くんも無理みたい』
『だろうなぁ、なら仕方ねぇ。二人で先に始めっか』
颯真くんは受付で遅れた三人に怒っていた。
私はというと哪吒くんとデートできない寂しさ、彼が迷宮探索校でも……ううん、女優やモデルやアイドルにスカウトされてもおかしくないくらいかわいい女の子たちに囲まれていることに嫉妬、その二つの気持ちに押し潰されそうになっていた。
個室に入ると狭い空間に少し圧迫感を受ける。颯真くんは三人掛けのソファの中央にどんと腰掛けたが、私は一人掛けのソファに座ろうとしたときだった。
『ゆき、そんな遠慮せず、こっち来いよ』
『私はここで……』
実は哪吒くん以外の男の子とこんな狭い空間で二人きりになるのは生まれて初めて……。
『ゆき、パーティーってのは生死を共にする仲間なんだよ。言わば
『そ、そうだよね……』
『それに今日は再生回数が10万回超えたってことだけじゃなく、ゆきの歓迎会も兼ねてる。言わばゆきは今日の主役ってことだ。その主役がそんな端っこにぽつんといてどうすんの?』
確かに颯真くんの言う通りだ。私はせっかく颯真くんが私のために歓迎会を開いてくれたのに、いつもの癖で遠慮していた。だけど、颯真くんがそう言うならと、席を立ち彼の隣へ移る。
颯真くんはソファーの背もたれの上に両腕を伸ばし、上半身を預ける。一方の私は緊張からか小さくなって身体を縮こませてしまっていた。
『ふーん、そりゃ哪吒の奴が悪いな』
『哪吒くんが悪い?』
『だってそうだろ? こんなかわいい彼女をほっぽりだして、何とも思ってないんだぜ』
『そんなことは……』
『いやいや、考えてもみろって。オレならゆきが彼女なら他の女なんか無視して、絶対に手放せねえよ』
えっ?
私が颯真くんの発言にびっくりしていると彼は軽く私の肩に触れていた。
あ……颯真くんに触れられちゃった……。
哪吒くん以外の男の子に触れられるのなんて初めて……。
そのとき、ドアがノックされ私は咄嗟に颯真くんから距離を置いた。店員さんがドアを開けて中に入ってきて、颯真くんが頼んでくれたドリンクをテーブルの上に並べる。
『失礼します、ご注文のドリンクはこちらで良かったですか?』
『ああ』
コーラとアップルジュースというただのソフトドリンク。颯真くんの感じならお酒を飲むとか言い出してもおかしくないのに。
見た目はチャラいけど、彼は根は真面目なのかもしれない。
私は少しでも緊張を解そうとアップルジュースに手を伸ばし、半分くらいストローで吸い上げた。
いつも飲むアップルジュースよりすーっと身体に染み渡ってくる不思議な感覚。それになんだか身体がふわふわしてくるような?
『なあ、ゆき。哪吒を見返すために、オレがゆきをバックアップしてやるよ。どうだ? オレのモテかわ女子になるトレーニングを受けてみねえか?』
『私がモテかわ女子に?』
『ああそうだ。哪吒を含め、まだ他の野郎どもがゆきの魅力に気づいてねえんだ。マジで見る目のない奴らばっかだよな!』
『そ、そんなことはないよ。哪吒くんは妹さんの看病に忙しいから』
私は颯真くんに哪吒くんが来れない理由を打ち明けた。どうも哪吒くんに妹さんのことは話してなかったらしく、颯真くんは呆れていた。
『あいつ、それならそうと言ってくれりゃ配信収入を今の倍払ってやったのに、水臭えよなぁ! ゆきはそう思わねえ?』
私はうんうんと首を大きく振って、彼の優しい言葉に同意していた。あれ? さっきよりもふわーっとした感覚が増してるような気がする……。
それになんだか身体も熱い。
『ふーん。妹の看病とか言ってるかもしんねえけど、もしかしたら浮気してるんじゃねえの? あいつさ、ちょっとアリシアたちをダンジョンの中で庇って感謝されたら、モテてるなんて思う勘違い野郎だぜ』
ふわふわした感覚で颯真くんの話を聞いていると、なんだか彼の言う通りに思えてくる。
『だからゆきもたまに羽目を外してもいいだろ? お互い様って奴だ。黙ってりゃ分かんねえって。そもそもオレって、口が硬いことで有名だからな』
颯真くんは火照る私の身体を抱き寄せ、熱い瞳で私を見つめてきていた。寂しさに耐えているところに、そんな熱い視線で見られると断れなくなっちゃう……。
『ゆきは悪いないぞ。そもそも哪吒が悪いんだって。ゆきみたいなかわいい彼女がいんのに、アリシア、美里、れもんに誉められて鼻を伸ばしてやがんだ。はっきり言っておかしいだろ?』
『そうかも……』
颯真くんは私のふとももに触れていた。段々と内側に寄ってくるが彼の撫でる手触りが心地よくて、抗うことができないでいる。
――――【颯真目線】
オレはゆきを待つ間、カラオケハウスの店員と話していた。こいつらは大学生のバイトだがオレの息の掛かった連中でオレの指示通り動く忠実な下僕って奴。
『流石、颯真さん! やっぱパネェっす!』
『ははは! そう
『颯真さんが飽きたら、おれらもその女とヤらせてくれるんすよね?』
軽くギャルっぽくなったゆきの画像を見せたら、股間を膨らませてやがる。
ヤリたい盛りの猿中学生かよ。
童貞だったこいつらにオレが落とした女をシェアしたら簡単に下僕になりやがった。マジ、チョロすぎて吹くわ。
猿店員が手分けして個室に隠しカメラをセットしている。オレがゆきを落とすメンバーシップ限定のプレミアム動画を撮るためのものだ。
『あー、それな。この女、意外と化けたんでオークションにするわ』
『オークション?』
『ああ、この女がハメ撮り配信でいい感じに鳴いてくれたらよ、おまえらみたいにヤりてえって連中がいっぱい現れるって寸法よ。そいつらの中から一番スパチャ投げた奴にヤリ券出してやろうかなって思ってんの』
『『『颯真くん……』』』
『なんだよ、黙りこくって。キモいぞ、おまえら』
『『『やっぱ颯真くんは天才っすわ!!!』』』
『おまえら、マジでバカだな! 今頃気づいたのかよ、遅せえって』
『『『ははははは!!!』』』
歓迎会って体でゆきを呼び出したが、アリシアたちは誘ってねえ。女がいるってだけで安心する群れる女の気持ちを利用したテクだ。
アリシアたちはオレが誘っても来やがらねえ! 哪吒が誘ったらほいほい尻軽女みてえに来やがるのによぉ!!!
んなこと今はいい……。
『おい、おまえらソフトドリンクに酒混ぜるのを忘れんなよ』
『『『了解っす!!!』』』
こいつら返事だけはいいが、バイテロしそうな馬鹿だからな。ちゃんと釘刺しておかねえとすぐに忘れやがる……。
ゆきならオレが頼めばヤってくれるはず……。理由はそうだな……ダンジョン探索のときに借りてたレアアイテムを壊しちまった。その弁済に一千万ほど必要ときゃ言や、素直に快諾ってもんよ。
客がつかなくなるまでしゃぶりつくす……売れなくなったらあのバカどもにくれてやればいい。オレは兄貴や姉貴みたいにぽいぽい人材を捨てるクズじゃねえ、勿体ない精神を持った優秀な男なんだよ。
―――――――――あとがき――――――――――
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