終章 舞台の外
いつ死んでもよかった。 だが、それすら面倒だった。 死ぬことより、呼吸を続けることのほうが、どうやら楽らしかった。
私は人間ではなく、ただの傍観者だった。 舞台に立つことはなく、拍手を浴びることも、涙を流すこともない。 私は、自分の物語の主人公ですらなかった。
人間らしく生きたいと願ったこともあった。 けれど、それは叶わなかった。 私にとって「人間らしさ」とは、手の届かない虚ろな幻だった。
舞台の外で、私は今日も呼吸を続けている。 それだけが、私の生き方だった。
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