第二章 酒と煙草の夜

十六の冬、酒と煙草を覚えた。
自分を壊すためではなかった。
そのときだけ、すべてを忘れられた。
冷たい無関心も、空虚な観察も、ひととき霧のように消えた。

ある夜、酒に溺れていた私は、ひとりの女と出会った。
恋愛ではなかった。
ただ独占欲。
私は彼女の所有権を欲し、彼女の中にすべてをぶちまけた。

しかし、その欲は長く続かず、私を残して彼女は去った。
そこに残ったのは空のグラスと、冷めきったベッドだけだった。

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