白夜。彼は誰

主道 学

第1話 逢魔時

 真夜中になっても薄っすら明るい。太陽が全く沈まなくなってから今日で三日経った。この状態を黄昏といい。また古来より逢魔がおうまがときの時間帯といわれる。それは魔と会う時間に他ならない。そのために、三日前から不思議なことや神隠しやマガモノと呼ばれる悪鬼の出現が盛んになる、もっとも危険な日が続いていくことになった。


 また、黄昏は。白夜。あるいは、誰(たそ)が彼(がれ)ともいわれる。


――――


 もう、三日か。一人でここ大馬崎市おおまざきしへ来て、転校先の学校から家に帰る途中で、突然に、太陽は沈まなくなった。


 その日から学校側は、とても古臭い学校なので、女子が逢魔時だというのに登下校をさせるわけにはいかないといって、すぐに臨時休校になった。俺は暇になったので、大好きなマガモノという化け物を退治することにした。


 寝ぼけまなこで洗濯をして、干した布団が乾くのには、かなりの時間がかかるのに舌打ちした。


 だけど、日中いつでもどんな時間帯でも、大好きな逢魔時にいられるんだ。だが、いつの世でも、美味しいことや良いことは続かない。


 そう、続かないんだ。


 いつだってそうだ。


 朝食のシリアルにミルクティーをかけて、腹へ15秒チャージする。玄関の傘置き場に差してある用心用傘という戦闘用の傘を持って、外へと出た。


 俺は、今日もこの用心用傘でマガモノをはふる。


 古来から、俺に受け継がれた代々伝わるお家芸がマガモノ狩りだった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る