42:閑話3
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「──触るな!」
首都リンネリアと同じく巨大樹の
「誰も、指一本たりとも私に触るな! 近付くな!」
戦場で負った原因不明の傷を癒すため、運び込まれた医院。
しかし治療を施そうとした途端、半狂乱で叫び始めた
「し、しかし巫女殿! 傷口が固まってしまう前に治さねば……!」
そんな中、青ざめながらも説得しようとする
魔力の
その足元には、異様に
ゲームの立ち絵では脱いだ差分すら存在しなかった代物だが、今は無造作に転がっていた。
「どうか気をお鎮めに……!
また、国政を
本来は王族相手ですら
けれども今回ばかりは相手が相手。平時の振る舞いは見る影もなかった。
「治療なんか要らない! このままでいい!」
「ですが──」
「うるさいうるさいうるさい! これ以上、私の言葉に逆らうつもりなら、お前を異端者として処理する!」
「っっ!?」
異端者。すなわち精霊に
その肉体は死後も土に還ることを許されず、骨まで焼かれて打ち捨てられる。
全国民が精霊を
「分かったら下がりなさい! 私がいいと言うまで、誰も部屋に入るな!」
「し……承知、いたしました……」
帽子を拾い上げ、逃げ去るように退室するファティマと、彼女に続く医官たち。
残されたヒリュエステの息切れだけが、しばし室内を満たす。
「……けほっ! けほっけほっ!」
出し慣れていない大声で叫び続けた喉が
合わせてヒリュエステは、顔の右半分に巻かれた包帯を乱暴に剥ぎ取った。
「はぁ……はぁ……ふふっ」
未だ激痛を訴える、潰れた右眼。
痛みに
「ふ……ふふ……ひひっ、ひひひひっ」
フレアエルド戦記外伝でただ一人、Aランクに位置する魅力。
決して容姿だけで定められるものではないのだが、間違いなく無関係でもないだろう絶世の
「──治す? だめ、だめよ、そんなの」
閉じた
「そんなことをしたら、貴方が見えなくなってしまうもの」
何も
黒い瞳で見返してくる、若い男の姿。
「ねえ。貴方は今、どこに居るの?」
ヒリュエステの右眼に映り込む
……ジャック・リンカーの魔力が溶け込んだことで、一部変質した『自分だけの魔術』。
それによって己が一族にのみ見聞きできる
歴代で最も信心を欠いた
そして皮肉にも、その認識こそが彼女に未来視の制御を可能とさせ、本人が望みさえするならば、
「会いたい。貴方に、会ってみたい」
この密かなる大事件が、未来に
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