20.再突入

さて、ルカの空間で思いつく限りのできることはできた。

「ルカ、扉を作ってくれ。一応感知されないように隠すイメージで。あとは監視カメラ付きの扉にしたら外も確認できるかな。」

「おっけ、わかった!やってみるわ。」

そういうとルカは目を閉じて両手を前にかざす。

前回のように小さな扉を出されても困る。

力の使い方には少しは慣れたはずだ。

その期待に答えるように高さ2メートルほどの扉が現れる。

ただ、間抜けなことにこちら側に監視カメラがついている。

「ルカ?こっちの様子は確認する必要ないぞ?」

「あ、ごめん。扉に監視カメラがついてるって想像したらこっちについてもうた。」

苦笑いしながら頭をかき片手を上げ謝っている。

その姿を見て思わず笑ってしまう。

「いや、僕が悪かったよ。よく考えればこの扉は向こうと接点を繋いで潜るための扉だ。向こうに新しく扉を作るわけじゃないんだから監視カメラをつけたってしょうがなかったんだ。」

僕もルカを真似て頭をかきながら片手を上げ謝罪する。

それを見て2人で大笑いする。


ようやく笑いが落ち着いた頃、ヘラヘラしてる場合じゃないことを思い出す。

「扉の反応、隠せてるかな?」

「一応感知できないように〜って念じたけどわからへん。」

「どこと繋げたの?」

「家は危ないかなと思って学校に繋げたけど…。」

「ダメだ!今すぐ閉じて!」

思わず怒鳴ってしまう。

ルカは戸惑いながら扉に手を向けて消そうとしている。

「ごめん、けど学校もダメだよ。僕と繋がりのある場所は十中八九ドリーマーの使いが待ち伏せてるから…。」

もちろん理由はそれだけじゃない。

夢の内容は言えないからこう言うしかない。

夢を現実にしないための1番の手段は近づかないことだ。

「こっちこそごめん、考えなしやったわ。そらそうやんな。どこやったらええやろ?」

ルカは申し訳なさそうに話す。

事情を説明できないのがもどかしい。

しかし、ルカが死ぬかもしれないからなんて言えない。

「どこか人が多いところにすぐ行ける場所に扉を繋げよう。そうすれば僕らを感知しにくいはずだ。」

「確かにね、そっちの方がええわ。そうしよ!」

ルカはすぐに扉作りに取り掛かる。

大丈夫、今回は試してみるだけだ。

問題が起きる前に戻ってくる。

それさえできれば2人とも無事戻って来れる。

それを繰り返せばルカは死ぬことはない。

ルカが死ねばこの空間も無くなるだろう。

そうすると仗がどうなるかわからない。

世界にとって最悪でも僕らにとってはこれが最善だ。


扉が出来上がった。

さっきも思ったがベッドなどのように一瞬で出せるものではないらしい。

やはりドリームランドとの接点をつくるのはを作るのは大変なのだろう。

ルカは息を呑んで少し緊張してるようだ。

そんな姿を見るのはとても珍しい。

僕は満面の笑みで

「大丈夫!今回は能力を確かめるためだけにいく。確認が終わればすぐに戻るし前回みたいにならないようにできる限り存在を隠すイメージでいこう。」

ルカは表情を少し和らげ微笑むと

「ほな、次こそいこか。表に誰かおるかもしれんしゆっくり開けなな。」

そうしてドリームイーターになってから2度目のドリームランドへと向かう。

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