地の篇 第2話 死の商人に魅入られし国(3)

 アキラが食事を終えようとするとき、後方の大型テーブルでひときわ大きい歓声が沸き上がった。

(チャア、何を騒いでいるのかい?)

(私の居たエィミ国で市場税や貿易税が無くなり自由市が設けられられるからエィミ国で商売を始めようと騒いでいるようです)

(税金が無くなるの?)

(異邦人の国「§」の国の新しい政策だそうです)

(「わ」の国?)

(「わの国」ですか?・・エィミ国には港も有りましたのでそこで新しい街づくりを始めるそうです)

(その為に国を奪い取ったのか・・)

アキラがチャアと念話で話しているのを見てケイトが奥のテーブルを見つめながら。

「統治する者が変わるとそれに伴って民衆も動く、この国もまた変わっていくだろうドワーフ国「なかつ」国王宮での交渉はさらに厳しくなるかもしれんな」

「なかつ国?ですか・・、確かに国ってそういうものですね」

「ああ、よく考え自分の進む道を決める事だ・・」

そう言いながらケイトは立ち上がり宿に戻ろうとアキラを促した。



一月にも及ぶ長旅の末、ドル達一行は王都の入り口の城門に到着した。

「ケイト殿、ご苦労様です」

一日早く出発していたニィーが出迎えケイトとハグをしていた。

(あ、二人はそういう関係なのか)

アキラは二人の関係を理解した気がした。

「アキラ殿も無事で何よりだったな」

アキラが頷くとケイトが。

「アキラが居なければ私達しんがり組は捕獲されていたかもしれなかったのよ」

「そうなのか?ゴーレムを使ったのか?」

「城にあったロックゴーレムを使わせてもらいました」

アキラが答えると、ニィーが深々頭を下げると。

「ありがとう、国を代表して礼を言う」

「詳しい報告は後でするわ、なかつの国の対応はどうなってる?」

ケイトがニィーに質問すると。

「いや、なかなか問題山済みだよ・・、ドルとももう一度話し合ってよく確認しないとな・・」

ニィーが頭を掻きながら険しい表情をする。

二人を見つめながらアキラは国を無くしたニィー達がきっと足元を見られている状態なのかなと想像していた。




ニィーの国で管理していた屋敷に全ての物資が運び込まれていた。

「ここは?」

アキラが尋ねるとケイトは。

「私達の世界の大使館の様なものよ」

「ここも二ヶ月したら引き渡さなければならない」

「え、」

アキラが驚くと。

「こんなものよ、「なぁ」の国にここでも間借りしなければならないのかしら」

「間借りさせてもらえればね」

ケイトの答えをニィーがかぶせてくる。

「今は俺がリーダーだが、早目に親父にでも来てもらって交渉してもらわないと話にならない」

「そんなに冷遇されたの?」

「上の者には誰にも・・大使も俺も会わせてもらってない、ドルに頼んではみたんだが」

「良いのですか俺の居る前でそんな話・・」

たまらずアキラが二人にダメ出しをする。


国を無くした者達の受難はまだ始まったばかりだ。

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