太陽と月

Rie🌸

第1話 ゴースト・ブレイド

あなたは私の心をいつだって照らしてくれる。

雨の日も風が吹く嵐の日も、真っ白な雪が降り積もる日でも、空を照らすあなたの姿を思い出すんだ。

それだけで私は前を向いて歩いて行ける。


君はオレにとって闇夜を照らす月のような存在だ。

どんなに光が見えない暗闇でも、君が傍にいて微笑んでくれるだけで力が湧いてくるんだ。


◇◇◇

金髪で碧眼。三つ編みを編んでいる。外見年齢は20代半ば。

漆黒の隊服にマント。背中には王家の紋章でもある陰陽のマーク。腰には剣を帯刀している。

「サン様。お待ちくだされ」

付き人兼教育係のセシムが後ろから付いてきた。セシムは大司教の服装である。

「その様って呼ぶのはやめてくれないか?俺、元々王族じゃないし」

辟易した表情で呟く。

「何を仰いますか!あなた様は前王の愛娘であるルナ王女の夫でいらっしゃいます。我が国では男性のみに王位継承権が与えられているのです。ルナ王女とご結婚された以上、王族の一員である自覚を持っていただかなければなりません。」

白髪交じりの髪、目元に刻まれた皺。くどくどと説教を続けていく。


「と言ってもなー」

『!!』

突如、強大な波動を感じてサンもセシムも視線を鋭くする。

「サン様、どうやらお説教は後になりますね」

「説教はもういいだろう。」


黒い邪気を持つ悪魔が目の前に現れる。

「城の敷地内にまで入り込んでくるとは、聖職者たちの結界が張ってあるというのに」

『結界、そんなものは意味をなさないさ。この城には我らの力も源がある』

悪魔の黒い影がビュルと伸びて来ようとした時、サンは剣を抜いて構える。

『剣では我を斬れはせぬ』


「普通の剣ではだろ?」

ニヤリと笑う。

サンは2本の指に霊力を込めて剣に注ぐ。

『目覚めろ。ゴースト・ブレイド』

剣が太陽のように光を放って、サンは悪魔を真っ二つに斬った。

『バカ・・な』

悪魔は塵となって消滅した。


セシムはサンの腕前に流石だというように頷く。

「サン様、見事でございました。やはり、あなたこそ次期王に相応しい。では、私は

結界の修繕に入ります。」

さらりと言われたことに、ギョッと目を丸くした。

「オイ、待て、オレは王になんて」

オレはこの状況に至った理由を思い出す。


オレは国を裏から支える王・直轄の裏特務部隊。サターンにいた。

表部隊は聖騎士とされて本部ジュピターに名前が登録される。


オレらの部隊はそこに名前は刻まれることはない。サターンには悪魔を倒す力を持った者で構成されていた。

名誉も功績も存在しない。命じられるままに任務を遂行していた。


そんな闇夜にいた頃、出会ったんだ。

月の光のように輝く君に。






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